三菱電機、300mmウエハーライン設置を完了:2024年度から量産開始へ
三菱電機が、福山工場に300mmシリコンウエハー対応生産ラインの設置を完了した。パワー半導体チップを試作/評価した結果、設計通りの性能が得られたことを確認したといい、2024年度から同ラインで量産開始する予定。
三菱電機が福山工場(広島県福山市)への300mm(12インチ)シリコンウエハー対応生産ライン設置を完了したと発表した。300mmウエハーライン設置は同社としては初めて。
12インチシリコンウエハーと抵抗測定器(左の作業者が持つウエハーが今回設置ラインで製造する12インチ、右は8インチ)[クリックで拡大] 出所:三菱電機
三菱電機は、同社の半導体・デバイス事業の売上高の約75%(2022年度実績)を占めるパワーデバイス事業を重点成長事業として位置付けていて、売上高、営業利益率を2025年度にそれぞれ2400億円以上、10%以上にまで拡大(2022年度は売上高2100億円、営業利益率8.4%)する目標を掲げている。
同社は目標達成に向け、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体を核とした成長基盤の強化を進めるとともに、主力のシリコン製品において製品ポートフォリオ変革および生産性の向上を推進。この生産性向上においては、ウエハー製造(前工程)の生産能力を2025年度までに2020年度比約2倍に増強する計画を進めている。
三菱電機は2020年6月、パワー半導体の新製造拠点として福山工場を設置すると発表。2021年11月には稼働を開始し、2022年4月、8インチ(200mm)ウエハーでの量産を始めていた。同工場では、三菱電機として初となる300mmウエハーラインについても2024年度の量産開始を目指して構築を進めていて、今回、生産ラインの設置が完了したことを発表した。なお、同生産ラインで製造したウエハーを用いたパワー半導体チップを試作/評価した結果、設計通りの性能が得られたことを確認したという。同社は、計画通り2024年度から300mmウエハーラインでの量産を開始する予定だ。
三菱電機は「当社は、生産効率に優れる12インチウエハー対応生産ラインの導入により、パワー半導体の生産能力を増強し、市場へ安定供給することで脱炭素社会の実現に貢献する」と述べている。
- 成長の核はSiC、生産能力5倍に 三菱電機のパワー半導体
三菱電機は2023年5月、オンラインで経営戦略説明会「IR Day 2023」を開催。半導体・デバイス事業本部長の竹見政義氏が、SiCパワーデバイスに関する取り組みを含めた同事業の成長戦略を語った。
- パワー半導体に5年で1300億円投資、三菱電機
三菱電機は2021年11月9日、パワーデバイス事業の事業説明会を開催し、2025年度までの今後5年間でパワー半導体事業に1300億円を投資することを明らかにした。福山工場(広島県福山市)への12インチ(300mm)ウエハーライン新設などを予定しており、2025年度までに2020年度比で生産能力を2倍にする方針だ。
- 三菱電機、ノベルクリスタルテクノロジーに出資
三菱電機は、パワー半導体用酸化ガリウム(Ga2O3)ウエハーを開発、製造、販売するノベルクリスタルテクノロジーに出資した。これを機に、三菱電機はGa2O3を用いたパワー半導体の研究開発を加速していく。
- SBD内蔵SiC-MOSFET、サージ電流耐量を向上
三菱電機は、新たなチップ構造を採用した「SBD内蔵SiC-MOSFET」について、記者説明会を行った。並列接続したSBD内蔵SiC-MOSFETのサージ電流耐量をこれまでの5倍以上に高めたことで、Siパワーモジュールとほぼ同等のサージ電流耐量が得られるという。
- 脱炭素追い風にSiCなどの開発を加速、三菱電機
三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)のパワーモジュール製品群などを展示した。
- 三菱電機、200億円でパワー半導体新拠点を設置
三菱電機は2020年6月11日、シャープから福山事業所(広島県福山市)の一部を取得し、パワー半導体を製造する新拠点(前工程)を開設する、と発表した。投資額は総額約200億円で、2021年11月の稼働開始を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.