NVIDIAの快進撃が止まらない。背景にあるのは、AI(人工知能)半導体のニーズの高まりだ。本稿では、半導体売上高ランキングにおけるNVIDIAの“本当の順位”を探る。
Semiconductor Intelligenceは8月14日、2023年第2四半期(Q2)における半導体メーカーの売上高トップ15を発表した(関連記事:「23年Q2の半導体企業売上高ランキング、トップはIntel」)。それによると、1位はIntel(129億米ドル)、2位はSamsung Electronics(112億米ドル)、3位はNVIDIA(110億米ドル)などとなっている。
しかし、筆者はこのランキングに少々不満を持っている。その不満とは、以下の2つである。
1)売上高ランキングにTSMCを入れていない
2)NVIDIAは会計年度が異なるため、売上高110億米ドルは「予測値」と書かれている
まず1)については、TSMCなどのファウンドリーの売上高はTSMCに生産委託しているファブレスに含まれていることから、ダブルカウントを防ぐためにGartnerなどはランキングにファウンドリーを入れてこなかった。一方、IC Insightsなどは、ファブレスおよびファウンドリーと明記して、ランキングを発表してきた。
どちらの事情も分からないではないが、筆者としては、かくも巨大になったTSMCのポジションを知りたいため、IC Insights方式のランキングを支持したい。
そこで、TSMCの2023年Q2の決算報告書を調べて、それを基に、改めて、2023年Q2の半導体メーカー売上高ランキングを作成してみた(図1)。
その結果、1位はTSMC(167億米ドル)、2位Intel、3位Samsung、4位NVIDIA(予測値)となった。やはり1位はTSMCだった。また、ランキングに名を連ねた日本メーカーはルネサス エレクトロニクス(16位)だけで、キオクシアやソニーは圏外になった模様である。
ここで、2023年Q1からQ2への成長率としては、4位NVIDIAの69.2%と7位SK hynixの39.1%が突出していることが目を引く。ここには、ChatGPTなどの生成AI(人工知能)が爆発的に世界に普及し、それに使われるAI半導体としてNVIDIAのGPUが引っ張りだこになったことが背景にある。また、NVIDIAのGPUにはメモリとしてHBM(High Bandwidth Memory)が使われる。そのトップシェアメーカーであるSK hynixがこの恩恵を受け、それが高い成長率につながったと解釈できる。
それでは、予測値で4位にランクされているNVIDIAは、本当は何位なのだろうか? 以下では、NVIDIAの業績を詳しく調べてみる。その上で、NVIDIAの本当にランクを推測してみたい。
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