同社は今回、データセンター向けなどの回復遅れを主要因として、2023年度通期の業績見通しを下方修正したことを発表した。売上高は前回予想(2023年8月)から500億円減の1兆4000億円、営業利益は同180億円減の770億円、純利益は同120億円減の580億円とした。セグメント別では、SEが光デバイス、アナログ半導体などの減速から、PTおよびMLSはデータセンター向けなどの市場減速からそれぞれ下方修正した。
これによって前年度比では売上高が8.3%増となる一方で、営業利益は同23.9%減、純利益は24.5%減の減益予想となった。ミネベアミツミ会長の貝沼由久氏は、営業利益の下方修正について、為替の状況も踏まえ「かなり保守的に設定した」と説明している。
なお、営業利益については、前年度は旧東京本部売却益などの特殊要因を含んでいた。この特殊要因を除いた事業ベースの営業利益(870億円)と比較した場合、営業利益の減益幅は約11%となる。
同社は、通期業績の見通しとして、PTではデータセンターの回復遅れが続くものの「さらなる生産性改善に注力する」ほか、MLSでは非車載モーターで苦戦しているが、車載向けが回復途上であるとした。SEでは光デバイスが第2四半期以降は堅調に推移するほか、半導体についても「まだ戻っているとは言い難い状態」としつつも緩やかな回復を見込んでいる。また、ASでは、自動車市場の回復や構造改革の成果などによって通期の営業利益が100億円超となると予想している。
ミネベアミツミは今回、2025年3月期(2024年度)に各製品分野で市場が回復した場合の営業利益イメージも公開(下図)した。貝沼氏は「たらればの話だが、掛け値なく、このくらいは出て当たり前だという数字だ」などと説明していた。
具体的にはベアリングはデータセンター市場などの回復で前年度比130〜170億円増、モーターはスピンドルおよび非車載モーターなどの回復で90〜110億円増、アクセスソリューションは自動車市場の完全回復とPMI(Post Merger Integration)効果で90〜110億円増となるイメージだという。
さらに半導体では、市場回復に加え、滋賀工場の黒字化および日立パワーデバイス買収の効果から70〜90億円増になるとしている。
これに加え、車載モーターおよび車載バックライトの動向によってさらなる上振れの可能性もあるという。貝沼氏は「1200億円くらいの実力値があるといっていいだろう。今まさに、竹の節目のところに当たっているが、世の中が変わってくれば(景気が戻れば)すっと伸びていく、そういう土台がここにできたのだろうと考えている」と語った。
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