引き続き、各種パッケージ技術の動向を紹介する第3章第3節を取り上げる。今回から「3.3.2.2 FO-WLP、FO-PLP、部品内蔵基板」の概要を紹介する。
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。
本コラムの前々回から、第3章「電子デバイスパッケージ」の第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」を紹介し始めた。前回からは、第3章第3節第2項(3.3.2)「ウェハレベルパッケージ(WLP)、パネルレベルパッケージ(PLP)、部品内蔵基板」の説明を始めている。
「3.3.2 ウェハレベルパッケージ(WLP)、パネルレベルパッケージ(PLP)、部品内蔵基板」は以下の2つの項目によって構成される。「3.3.2.1 WL-CSP(Wafer Level-Chip Size Package)」と「3.3.2.2 FO-WLP(Fan-Out Wafer Level Package)、FO-PLP(Fan-Out Panel Level Package)、部品内蔵基板」である。その中で前回は、「3.3.2.1 WL-CSP」の概要を説明した。今回からは「3.3.2.2 FO-WLP、FO-PLP、部品内蔵基板」の概要をご紹介する。
FO-WLPと前回で説明したWL-CSPはいずれも「ウエハーレベル」と称するものの、製造工程には基本的な違いがある。WL-CSPは、回路を形成済みのシリコンウエハーをそのままパッケージ基板として使う。
これに対してFO-WLPは、回路を形成済みのシリコンウエハーを裏面から所望の厚さになるまで研削し、次いで個々のシリコンダイに切り離す(個片化)。それから「キャリア」と呼ぶウエハー(円形の板)あるいはパネル(四角い板)にシリコンダイを再配置する。この段階からパッケージングの工程が始まる。キャリアを利用してシリコンダイをまとめて樹脂モールドし、「疑似ウエハー」と呼ぶシリコンウエハーよりも大きな基板を作る。この基板に再配線層や入出力端子を形成する。
「ウエハー」ではなく、「ウエハーレベル」と呼称しているのは、ウエハーに相当する大きさのキャリアと疑似ウエハーを含んでいるから、とも言える。なおキャリアが四角いパネルであれば、「パネルレベル」のパッケージングとなる。
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