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多様化するパッケージ技術がデバイスごとの特長を引き出す福田昭のデバイス通信(433) 2022年度版実装技術ロードマップ(57)

前回に続き、第3章「電子デバイスパッケージ」の概要を説明する。今回から、第3章第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」の概要を報告する。

» 2023年12月01日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

高密度実装、パワー、高周波、イメージセンサーなどに特化

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。

 本コラムの前回から、第3章「電子デバイスパッケージ」の概要説明を始めた。前回は主に第3章第1節(3.1)「はじめに」の概要を紹介した。今回からは第3章第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」の概要を報告する。

第3章「電子デバイスパッケージ」の主な目次。「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

 「3.3 各種パッケージ技術動向」は多種多様なパッケージ技術を扱う。項目数は10項目に達する。具体的には「3.3.1 PoP(Package on Package)」「3.3.2 ウェハレベルパッケージ(WLP)、パネルレベルパッケージ(PLP)、部品内蔵基板」「3.3.3 システムインパッケージ(SiP:System in Package)」「3.3.4 車載パワーデバイス」「3.3.5 RFデバイスのパッケージ構造と高速・高周波向け配線材料」「3.3.6 光電変換モジュール」「3.3.7 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)パッケージ」「3.3.8 CMOSイメージセンサパッケージ」「3.3.9 ディスプレイ向け実装技術」「3.3.10 その他の表面実装パッケージ」と続く。

第3章第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」の主な目次。「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

 これらの項目を全て紹介することは、残念ながら難しい。ご報告するのは一部の項目にとどまる。どうかご容赦されたい。

FBGAとウエハーレベルパッケージが多ピン領域で競合

 最初の項目である「3.3.1 PoP(Package on Package)」の前に、半導体パッケージ全体の動向を述べておこう。多ピン化(多端子化)と小型化がパッケージ開発の共通目標であることは従来と変わらない。また最近では、高速・高周波対応が重視されるようになってきた。当然ながら、コストは低く抑えておきたい。

各種パッケージの動向。縦軸はパッケージの端子数(ピン数)、横軸はパッケージの寸法(正方形と仮定したときの一辺の長さ)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 2000年代以前に多ピン(最大240ピン級)パッケージの代表格だったQFP(Quad Flat Package)は端子がインライン(1列)配置であるためにサイズが大きくなる、寄生素子が大きいために高速・高周波に不向き、といった弱点を抱えていた。この弱点を緩和するアレイ配置(2次元行列配置)の端子を備えたBGA(Ball Grid Array)パッケージが1990年代後半に普及し始める。

 QFPよりも大幅にピン数が多くてサイズが小さなパッケージとしてBGAとその改良版(端子ピッチを短くしたバージョン)であるF(Fine-pitch)BGAがQFPを置き換えていった。BGAは樹脂基板を使うので高速・高周波対応が比較的容易だという利点も、採用を促した。

 一方で数十ピン程度(16ピン〜80ピン前後)の少ピンパッケージでは、リードを持たないQFN(Quad Flat Non-leaded package)がQFPに比べて小さく薄いという利点を生かして普及した。端子数が100ピン以上では、小型で低コストのWL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)が開発され、採用が進んだ。

 WL-CSPはパッケージの外形寸法がシリコンダイとほぼ同じなので、レイアウト可能な端子数に上限がある。そこで端子数の上限を著しく伸ばしたFO-WLP(Fan Out Wafer Level Package)が開発された。15mm角で1000ピンを超える小型多ピンのパッケージを実現可能な技術である。

⇒(次回に続く)

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