Rapidusは、世界各国の半導体企業との連携も進めている。2022年12月には、ベルギーimecと先端半導体開発に向けてMOC(Memorandum of Cooperation/協力覚書)を締結。2023年12月には、2nmプロセスベースのAIエッジデバイス領域での半導体IPに関してTenstorrentとの提携を発表した。東氏は、連携の重要性について「デジタル技術は、国/地域、産業分野の垣根を超えたボーダーレスな技術だ。国家間では地政学的な問題もあるが、友好国の間でいかに垣根をなくして、強いサプライチェーンを構築するかが重要だ」と強調した。
10年後の世界の潮流と日本が取るべき国家戦略について、東氏は「日本は、人口減少が進む中で、AI(人工知能)およびAI半導体技術を積極的に取り入れることが極めて重要だ。日本は、モノづくり(製造技術)で強みを持っているといわれてきた。しかし、今後はモノづくりだけでは不十分だ。半導体設計人材や新しいアプリケーションを開拓する人材の育成にも力を入れなければならない。今後、AIの積極的な活用により『技術立国 日本』を取り戻す」と述べた。
甘利氏は、AI活用に関する注意点および対策について「AIをはじめとした新しい技術が開発された際、どのようにして前向きな用途で使っていくかが重要だ。生成AIの登場以降、現実と一見区別がつかない精度のフェイクニュースが増えている。しかし、現在の法律では、規制や逮捕などの対応が難しい。国内はもちろん、国際ルールとして、AIが人間の味方であり続けるようなルール整備が必要だ」と説明した。
東氏は、自身の「夢」に関する質問に対して、「『夢』とは、未来への期待だと考えている。若者に対して『夢を抱け』というが、大人が夢を抱いていなければ、若者が夢を抱けるはずがない。私の夢は、Rapidusを是が非でも成功させて、国内半導体製造の20年の後れを取り戻し、未来に期待ができるような最先端半導体開発の基盤を創ることだ」と強調した。
甘利氏は「(私の夢は)『明日は今日よりきっと良い』と思える社会を創ることだ。高度経済成長期は、幸せが順番に巡ってくることから『人の幸せは、自分の幸せ』と素直に喜べた。しかし、現代は『人の幸せは、自分の不幸』になってしまっている。われわれ(政治家)は、国民全員が明日に希望を持てる日本を目指している」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.