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プリント基板に半導体チップを埋め込む部品内蔵基板福田昭のデバイス通信(437) 2022年度版実装技術ロードマップ(61)(1/2 ページ)

今回は、FO-WLP(Fan Out-Wafer Level Package)のロードマップと、FO-PLP(Fan Out-Panel Level Package)の一種ともみなせる部品内蔵基板について解説する。

» 2023年12月22日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

FO-WLPのロードマップを2031年まで示す

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。

 本コラムの第433回から、第3章「電子デバイスパッケージ」の第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」を報告してきた。前々回前回は、第3章第3節第2項(3.3.2)「ウェハレベルパッケージ(WLP)、パネルレベルパッケージ(PLP)、部品内蔵基板」の第2項目「3.3.2.2  FO-WLP(Fan Out-Wafer Level Package)、FO-PLP(Fan Out-Panel Level Package)、部品内蔵基板」の概要をご説明した。今回は説明の続きとなる。

第3章第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」の主な目次 第3章第3節(3.3)「各種パッケージ技術動向」の主な目次。「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

 はじめに、FO-WLPのロードマップを示したい。2021年から2031年までの10年間を2年ごとに推定あるいは予測した。全体としては変化が少ない。厚みが0.200mmから0.125mmへと薄くなり、再配線層(RDL)の配線ピッチが10μmから4μmへと短くなり、シリコンダイ間の間隔が0.20mmから0.15mmへと短くなる。

FO-WLPのロードマップ(2021年〜2031年) FO-WLPのロードマップ(2021年〜2031年)。「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)の363ページから抜粋したもの[クリックで拡大]

ウエハーよりも大きなプリント基板によって製造コストをさらに下げる

 続いて「部品内蔵基板」のご説明に移ろう。部品内蔵基板とは名称の通り、半導体チップ(シリコンダイ)や電子部品などを内蔵したプリント基板を意味する。半導体パッケージとしての部品内蔵基板のメリットは、シリコンウエハーよりも大きなプリント基板を使った、パッケージング工程の一括処理が可能なことにある。原理的にはウエハーレベルのパッケージングよりもパッケージ当たりのコストが下がる。

 シリコンウエハーの最大寸法は直径300mmである。ウエハーは円形なので、正方形に換算すると213mm角になる。一方、部品内蔵基板の製造で利用する代表的なプリント基板(矩形)の寸法は、400mm×300mm、500mm角、700mm×500mmとシリコンウエハーの2倍以上の寸法がある。面積としては4倍を超える。

 パッケージ技術としての部品内蔵基板は、パネルレベルパッケージ(PLP)の一種ともみなせる。「FO-PLP(Fan Out-Panel Level Package)」は矩形のパネル(通常はプリント基板)を扱うので、FO-PLPの中でプリント基板にシリコンダイを内蔵するタイプが「部品内蔵基板」だとも言える。後述する微細配線を形成可能なタイプは「部品内蔵基板」ではなく、「FO-PLP」と表記されることが多い。

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