経産省 金指氏は、日本政府の政策の方向性について紹介した。
日本政府は、半導体に関する支援策をステップ1〜3の3段階で進めている。ステップ1は足元の生産基盤の強化、ステップ2はRapidusを中心とした最先端の半導体技術/量産基盤の確立、ステップ3は光電融合に代表される将来技術の開発プロジェクトだ。
金指氏はステップ1の生産基盤の強化について、国がキオクシアの四日市工場やMicron Technologyの広島工場の設備投資に向けた助成を行ったことを挙げ、「メモリの重要性を再認識して、開発の支援をより一歩踏み込んで進めていきたい」とした。TSMCの製造子会社であるJASMについても、九州7県での2023年度の設備投資額(計画値)が前年度実績比61.7%増の1兆105億円となったことを紹介し「半導体業界にとって重要であるのはもちろん、経済全般にも非常に大きな効果が出ている」と述べた。
今後については、半導体製造の後工程や、パワー半導体への支援を拡大していくことを強調。パワー半導体については、2023年12月8日に発表されたロームと東芝への助成を「支援第1弾」とし、「5年後、10年後に向け、パワー半導体が日本の産業として継続的に拡大していくための『根』を作っていきたい」と語った。
ステップ2の次世代半導体技術については、これまで国がRapidusに約3300億円を支援してきたことを説明。加えて、2023年11月に成立した令和5年度補正予算でもRapidus向けの予算を確保したといい、「今後、事業進捗や必要な費用を精査しながら、2024年春ごろには具体的な金額を確定させる」とした。
ステップ3の将来技術の開発については、代表的なものは光電融合技術だとし、「日本発の技術でもう一度ゲームチェンジを起こせる可能性を追求する」と述べた。
さらに金指氏は、AI技術についても言及した。2023年11月に開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせ、半導体とAIに関連する日米の主要プレイヤーによるディスカッションを開催したという。令和5年度補正予算でも半導体/生成AIの開発支援に約2兆円を確保している。
金指氏は日本政府の半導体業界への支援について、総括として「これまでは量産を中心に支援してきた。今後もその支援は続けながら、産業界により深く根差すエコシステム作りや人材育成に取り組んでいく」と語った。
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