TSMCは2023年12月に開催された「IEDM 2023」で、半導体製造プロセスのロードマップについて言及した。同社は2030年までに、1nm世代での製造を開始する予定で、それまでに技術面や財務面での課題を解決できると自信を見せた。
TSMCは、2023年12月9日から13日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「IEDM 2023」で2nm、1.4nm、1nm各世代の製造プロセスの技術ロードマップを発表した。同社は将来的に1nm世代の製造プロセスを開始するというコミットメントをあらためて主張する一方、2030年までに技術面や財務上の課題を克服することを確信しているという。
TSMCは2023年7月、台湾・新竹市に研究開発(R&D)センターを開設した。同センターでは、約7000人の研究者が1nmチップ用の新たな材料やトランジスタ構造を研究している。なお、EUV(極端紫外線)リソグラフィツールのサプライヤーであるASMLは、2028年には1nmプロセス技術に到達する見込みである。
TSMCは、パッケージング技術の向上にも注力している。具体的には、2030年には1兆個以上のトランジスタをパッケージングできるマルチチップレットソリューションの実現を狙う。複数の3D積層チップレットを用いて、単一のパッケージに1兆個のチップを集積する計画だという。
TSMCと同様、Intelも最先端プロセスノードやチップレットに注力すると同時に、単一パッケージに1兆個のトランジスタを搭載するための高度なパッケージング技術の開発に注力している。TSMCが2025年までは2nmを維持する計画である一方、Intelは2024年には、2nm世代に当たる「Intel 20A」のプロセスを立ち上げ、TSMCを追い抜くと主張している。とはいえ、既に年が明けて2024年となった今、Intelが計画通りにロードマップを進められるかは未知である。Intelは、Intel 20Aを適用したCPU「Arrow Lake」(開発コード名)の生産を2024年に開始する予定だ。
さらにIntelは、2024年内にも、Intel 20Aの改良版である「Intel 18A」プロセスの製造準備が整うとしている。その先には、「Intel 14A」の開発を見据える。一方のTSMCは、2026年には1.4nmプロセスの開発を完了すると明言しており、2028年には同プロセスの製造準備が整うことを示唆している。
なお、TSMCのもう一つのライバルであるSamsung Electronicsは、2027年には1.4nmプロセスでの量産を開始すると発表している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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