STMicroelectronicsが、チップサイズ82.4平方センチメートルの巨大な3億1600万画素イメージセンサーを開発したという。米国ネバダ州ラスベガスの巨大な球体シアター「Sphere」のコンテンツ撮影用カメラのために特製した。
米国ネバダ州ラスベガスに設置され、同所で2024年1月9日から開催中の「CES 2024」でも活用されている球体シアター「Sphere」。その内部にある巨大ディスプレイ用コンテンツを記録するカメラ向けに、STMicroelectronics(以下、ST)がチップサイズ82.4cm2、3億1600万画素の特注イメージセンサーを開発したという。2024年1月11日(スイス時間)、同社が発表した。
Sphereは、Sphere Entertainmentが2023年9月に開業した、高さ366フィート(約112m)幅516フィート(約157m)という巨大な球状のシアターだ。その外部はほぼ全体が5万4000m2のLEDディスプレイで覆われていて、稼働当初から圧倒的な存在感が話題となっている。CES 2024においてもIntelなどが広告で活用し、CES参加者らの目を引いている。
Sphere内部のホールには「世界最大」(Sphere Entertainment)の約1万5000m2の高解像度(16K)LEDディスプレイが設置されている。このディスプレイ用のコンテンツ撮影のため、Sphere Entertainmentの社内コンテンツスタジオであるSphere Studiosが18Kのシネマカメラ「Big Sky」を開発。STは同社と協業し、このカメラのために、特注の「世界最大のシネマイメージセンサー」(同社)を開発/製造することに成功した。
STが開発したのは、サイズが9.92cm×8.31cm(82.4cm2)の3億1600万画素のイメージセンサー。パスポート用写真の約2倍のサイズで、300mmウエハーにも完全なチップは4枚しか収まらないという巨大なセンサーだ。同社は「市販ハイエンドカメラのフルサイズセンサーの約7倍の大きさかつ、40倍の解像度を実現した」と説明している。Big Skyに搭載するこのセンサーは、フレームレート120fpsで映像を記録し、60Gバイト/秒で画像データを転送できるという。
STのエグゼクティブバイスプレジデントでイメージングサブグループゼネラルマネジャーのAlexandre Balmefrezol氏は、「STは約25年にわたりイメージング技術、IP(Intellectual Property)、ツールの最前線に位置し、高度な機能と性能を備えた独自のソリューションを製造できる。今回のサイズ、解像度、速度で、低ノイズ、広ダイナミックレンジおよび、一見不可能と思われる製造歩留り要件を備えた特注センサーを製造することは、非常に斬新な挑戦だったが、フランスのクロールにある300mmウエハー対応工場から出荷された最初のウエハーで、見事に克服することができた」とコメントしている。
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