半導体チップ全体を樹脂で覆う「モールディング」の材料にはふつう、エポキシ系のモールド用樹脂(EMC:Epoxy Molding Compound)が使われる。EMCは固形樹脂と液状樹脂に分かれる。固形樹脂を利用したモールド工程には、「トランスファーモールド」と「コンプレッションモールド」がある。液状樹脂を利用したモールド工程には「コンプレッションモールド」「ポッティング」「印刷成形」がある。
「トランスファーモールド(トランスファー成形)」では、溶融した樹脂をプランジャーによってキャビティ(複数のボンディング済みシリコンダイを格納してある金属容器)に注入して硬化させる。複数のプランジャーによって成形時間を短くしていることが多い(「マルチプランジャー」と呼ぶ)。
「コンプレッションモールド(圧縮成形)」では、液状あるいは顆粒状の樹脂をキャビティ内で溶融し、ボンディング済みシリコンダイを溶融樹脂に浸してから樹脂を圧縮し、硬化させる。樹脂の流動がほとんどない、キャビティ内の圧力が均一である、といった特徴を有する。先進パッケージの組み立てには、主に圧縮成形が使われる。
エポキシ系モールド用樹脂(EMC)に対する要求には、熱伝導率(放熱性)の向上、流動性の向上、寸法安定性(パッケージの反り緩和)、耐熱性の向上、応力の低減、などがある。詳しくは「2022年度版 実装技術ロードマップ」本体(425ページ〜427ページ)を参照されたい。
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.