Chang氏はさらに、今後の需要増についても「最近、TSMC社内のAI担当者から、AIの登場で必要になった(半導体チップの)生産能力を聞いて驚いた。ウエハーを何千枚、何万枚というレベルではなく、ファブがいくつ必要かというレベルで話していた」と明かした。
岸田首相はビデオメッセージで、「日本政府は先端半導体の国内製造基盤の整備に向け、前例のない大胆な支援を講じてきた。JASMで先端ロジック半導体が生産されることが、日本の半導体産業とユーザー産業の双方にとって大きな一歩だ」と語り、「TSMCの熊本進出発表後、約50社が熊本への設備投資を発表している。今後もJASM、熊本、九州から投資と賃上げの好循環が生み出されることを歓迎する」と、経済効果の大きさに言及した。
斎藤氏は、「1980年代、日本の半導体産業は世界一のシェアを誇っていたが、官民双方の取り組みが時代の流れに取り残され、競争力を落としてきた」と振り返った。「現在、日本では40nm未満のロジック半導体は量産されていない」と指摘し、熊本第一工場では22/28nm品、12/16nm品を生産することから、「日本の半導体産業に欠けていたピースが埋まる、極めて深い意義を持つものだ」と期待を寄せた。
なお、TSMCは2024年2月6日、ソニーセミコンダクタソリューションズやデンソー、トヨタ自動車とともに、熊本第二工場の建設計画を発表した。第二工場についても日本政府が助成を行うと明らかにしている。第二工場は、2024年末までの建設開始と、2027年末までの稼働開始を目指す。第一工場と第二工場の合計月間生産能力は、300mmウエハー換算で10万枚以上となる見込みで、自動車や産業機器、民生機器、HPC(高性能コンピューティング)向けに40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nmプロセスでの製造を行う予定だ。
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