ルネサスは、主にロボティクス制御に向けて、DRPとDRP-AI3、CPUが協調動作するヘテロジニアスアーキテクチャも開発した。これら3つを組み合わせることで、「AI処理」「AIを使わないアルゴリズム処理」が混合していても、マルチスレッド化やパイプライン処理が可能になるとする。
協調ロボットでは、周辺環境の認識に加え、ロボットの行動判断や制御をリアルタイムに実行する組み込みシステムへの需要が高まっている。このようなシステムでは、周辺環境などの認識をAIで行う一方で、行動判断/制御には、AIを使わないアルゴリズム処理が行われている。
ルネサスが提案するヘテロジニアスアーキテクチャは、AI処理をDRP-AIで、AIを使わないアルゴリズム処理をDRPとCPUで実行することで、ロボットアプリケーションの高速化と低消費電力化を図るというもの。「ロボット制御では複数のアルゴリズムを組み合わせる必要がある。DRPは、1ミリ秒でアルゴリズムを切り替えられるので、ロボットアプリケーションとの相性がよい」(野瀬氏)。画像処理では、AIを使わない画像処理(AIの前後の処理)をDRPで実行することで、システム全体の処理時間を削減できるという。
ルネサスは、DRP-AI3や、ヘテロジニアスアーキテクチャを実装したテストチップを14nmプロセスで作成。0.8Vの電源電圧で、23.9TOPS/Wの最大電力効率を達成した。主なAIモデルを動作したときの電力効率は10TOPS/Wだったという。「ファンやヒートシンクを使うことなく、AI処理を行えることを示した」(ルネサス)と強調する。
ロボットの周辺環境認識を広い視野で行う場合、100TOPSに近いピーク性能が求められる。だが、このような高性能なAI処理が行えるAIアクセラレーターは発熱も大きい。「ロボットに組み込む段階で、発熱が大きすぎてロボットに組み込めないことに気付くケースもある。ファンレスでAI処理をするには、10W以下で動作するAIアクセラレーターが必要になる」(野瀬氏)
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