パナソニック ホールディングスは、有線や無線、海中などの環境で通信可能な技術「Nessum(ネッサム)」が、国際標準規格「IEEE 1901c」として承認されたと発表した。同規格に準拠した半導体IP(Intellectual Property)コアの開発も行っており、半導体企業へのライセンス供与を始める。
パナソニック ホールディングスは2024年3月6日、有線や無線、海中などの環境で通信可能な技術「Nessum(ネッサム)」が、国際標準規格「IEEE 1901c」として承認されたと発表した。同規格に準拠した半導体IP(Intellectual Property)コアの開発も行っており、半導体企業へのライセンス供与を始める。
パナソニックが開発したNessumは、Wavelet OFDM方式をベースとしており、複数媒体での通信が可能である。従来は「HD-PLC」の名称で展開してきたが、2023年9月に「Nessum」へ改称した。承認されたIEEE 1901cでは、Nessumの基本性能を向上させ、活用範囲を広げるための機能強化などが図られているという。
Nessumは、有線通信で利用可能な周波数を、従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張した。これによって通信の長距離化などが可能となった。例えば一般的なメタル配線を用いて、「数キロメートルまでの通信距離をカバー」「メガビット/秒級のブロードバンド通信に対応」「インターネットプロトコルに対応」「柔軟なネットワーク構成が可能なトポロジーフリー」「安全かつセキュアな通信」といった機能を実現できるという。
また、微弱電波を用いた無線通信にNessumを適用すれば、通信範囲を制限した近距離高速無線を実現できる。さらに、情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業「海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発」では、Nessumを応用した技術開発と実証実験が進められている。
欧州やアジア地域では既に、スマートグリッドGX(グリーントランスフォーメーション)化の通信インフラ、ビルや工場など大規模施設の空調機器やビル制御機器などにNessumの採用が始まっているという。
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