TDKは、車載向けチップバリスタ「AVRHシリーズ」のラインアップを拡充し、車載通信規格であるLIN(Local Interconnect Network)およびCAN(Controller Area Network)向け製品の量産を開始する。ADAS(先進運転システム)や自動運転用の車載機器に向け、小型化、低静電容量および狭公差化などを追求した。
TDKは2024年2月20日、車載向けチップバリスタ「AVRHシリーズ」のラインアップを拡充し、車載通信規格であるLIN(Local Interconnect Network)およびCAN(Controller Area Network)向け製品の量産を開始すると発表した。
AVRHシリーズは車載規格のAEC-Q200に準拠し、使用温度範囲は−50〜+150℃までという高信頼性タイプの積層チップバリスタだ。TDKは今回新たにLIN向けの「AVRH10C220YT201MA8」とCAN向けの「AVRH16A2C270KT200NA8」を開発した。
両製品開発の背景には、ADAS(先進運転システム)や自動運転に関連する技術の進展がある。センサーやECU(電子制御ユニット)の搭載数が増加してネットワークが複雑化し、ハーネス増加に伴って車体重量も増加する中で、ESD(静電気放電)対策部品に求められる特性も変化してきた。センサー搭載数の増加に対しては処理能力向上と高速通信化を実現するための「低静電容量化」、ECUの増加に対応するためには部品実装密度を向上できる「小型形状化」、ハーネス重量増加への対応としてはノイズ耐性の低いUTPケーブル(非シールドツイストペアケーブル)に向けた「静電容量の狭公差化」が、それぞれ求められるようになった。今回の新製品は、こうした要求に応えるものだという。
LIN向けのAVRH10C220YT201MA8は、部品点数の削減と小型化を実現し、省スペース化とコスト削減に実現するものだ。バリスタ電圧は22V、静電容量は200pFだ。
LINトランシーバーのリファレンス回路では、多くの場合スレーブ側に220pFのコンデンサーを使用することを推奨している。IC保護にESD保護素子を使う場合、コンデンサーとTVSダイオードの2つを配置することになるが、AVRH10C220YT201MA8であればこれらを1つで置き換えられ、実装面積とコストを削減できるという。
ESD保護性能も十分だといい、ピーク電圧/平均電圧ともにLIN向けのTVSダイオード以上の抑制効果があることを確認したとしている。
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