パンデミック中に起きた半導体不足によって、世界中の自動車や電子機器メーカーは機能不全に陥った。そうした事態を受けて、中国や日本、韓国、台湾、そしてインドといった国/地域では、より強靭な半導体サプライチェーンを国内に構築するための策を講じている。CHIPS法もそうした取り組みと同様のものだ。
TechInsightsは、世界各国で判明している半導体産業支援策の金額を合わせると約2000億米ドルに達すると推測している。完全装備の巨大工場を8棟建設するのに十分な額だ。一方で、TechInsightsによると、2030年までの業界成長目標を達成するにはこれでも不十分だという。Hutcheson氏は「2000億米ドルは多いように聞こえるが、2030年の半導体製造必要高を満たすのに必要な投資額合計の8分の1にすぎない」と述べた。
Albright Stonebridge Groupでアソシエイトパートナーを務めるPaul Triolo氏によると、CHIPS法による投資喚起をもってしても、2030年に先端半導体の世界シェア20%という米国の目標には届かない見込みだという。Triolo氏は「この資金だけでは到底不十分だ。米国がTSMCとSamsungにもIntelに匹敵する支援を行い、さらに2026年以降にCHIPS法に続く法律が施行された場合にのみ達成可能になるだろう」と述べた。米商務長官のRaimondo氏は、「第二弾CHIPS法」の施行を支持すると表明している。
業界アナリストのPatrick Moorhead氏は米国EE Timesに対し、「CHIPS法による資金提供はRaimondo氏が掲げた目標への1つのステップにすぎず、これだけで達成することはないだろう。第二、第三の施策が必要になる」と語った。
【翻訳:滝本麻貴/青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Intel、CHIPS法の補助金を「ようやく」獲得 最大85億ドル
補助金の遅れや労働者不足……TSMCやIntelの米国新工場が直面する課題
米CHIPS法の理想と現実 強まる「政治色」への懸念も
「CHIPS法」だけでは不十分、米国の半導体政策
生産強化か将来技術か 半導体補助金政策からみる各国の戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング