東芝は、製造現場などにおいて製品の不良や欠陥を高い精度で分類できる「教師なし画像分類AI」を開発した。これを用いることで、ベンチマーク画像に対する分類精度が、これまでの27.6%から83.0%へ大幅に向上することを確認した。
東芝は2024年5月、製造現場などにおいて製品の不良や欠陥を高い精度で分類できる「教師なし画像分類AI」を開発したと発表した。これを用い、ベンチマーク画像に対する分類精度が、これまでの27.6%から83.0%へ大幅に向上することを確認した。
製造現場の検査工程では、生産ラインで取得した画像データの中から、製品の不良や欠陥の発生状況をいち早く発見して、生産性を高める動きが強まっている。このため、検査画像を高い精度で分類できる「画像分類AI」のニーズが高まっている。ただ、「教師ありAI」だと、一般的に分類精度はより高くなるが、人手による教示作業のコストも高くなる。これに対し、「教師なしAI」は導入こそ容易だが、分類の精度をさらに高める必要があった。
東芝は今回、独自の深層学習AIを用いることで、教師なしAIでも高い精度で画像を分類することに成功した。具体的には、深層学習AIを活用して背景パターンに含まれる不要な特徴を学習する「背景特徴抽出ネットワーク」を新たに導入した。そして、不良や欠陥が含まれる目的画像の特徴を学習する「注目特徴抽出ネットワーク」と組み合わせた。これにより、背景パターンの不要な特徴を無視しつつ、目的の画像から必要な特徴を効率的に抽出し、不良や欠陥を高い精度で識別、分類することが可能になった。
実験ではベンチマーク画像を用い、開発した教師なし画像分類AIの評価を行った。しま模様を持つ背景パターン画像と、しま模様の背景画像の上に手書き数字が重なる画像を用い、分類精度を検証した。この結果、分類精度は83.0%に達した。従来の27.6%と比べ大幅に向上することを確認した。
東芝は今後、開発した教師なし画像分類AI技術を、グループ会社の半導体工場に導入し、さまざまな検査工程に適用して性能実証を行う。その上で、改良や精度のさらなる向上を行い、早期実用化を目指す考え。
なお、開発した技術は製造分野の検査工程だけでなく、天気や季節変動により背景が変動する、監視カメラ画像への適用も有効だとみている。
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