ディエフアイは「組込み/エッジ コンピューティング展」(2024年4月24〜26日、東京ビッグサイト)で、ArmプロセッサでWindowsを動作するデモや、AI処理性能を高めたIntelの最新プロセッサ「Core Ultra」を搭載した産業用マザーボードなどを展示した。
ディエフアイは、「第33回 Japan IT Week【春】」(2024年4月24〜26日、東京ビッグサイト)内の「組込み/エッジ コンピューティング展」に出展し、Arm版Windows 10の動作デモや、Intelの最新プロセッサ「Core Ultra」(開発コード名:Meteor Lake)を搭載したSOM(System on Module)などを展示した。
ディエフアイは、産業用PCや組み込み用マザーボードなどを手掛ける台湾DFIの日本法人だ。日本市場に進出して20年以上になる。工作機械や医療機器、自動販売機、搬送用ロボット、データセンターなど幅広い分野をターゲットにしている。
展示したArm版Windows 10の動作デモは、今回の目玉の一つ。ArmベースのプロセッサでWindowsを動作させるArm版Windows(Windows on Arm)は、ブルーオーシャン市場として期待されている分野の一つだという。ディエフアイの統括本部長を務めるCliff Chung氏は、「Arm版Windowsは、消費電力とコストを削減できる点が開発者にとっては大きなメリットだ。Windowsを使い慣れていて、かつ、そこまでの性能を求めていない場合に、(IntelやAMD以外の)選択肢が増えることは魅力的ではないか」と語った。デモには、NXP SemiconductorsのArmベースのプロセッサ「i.MX 8M」を搭載したDFIの産業用マザーボード「M8M051」を使用。動画をスムーズに再生できる様子や、周辺のI/Oドライバーを正しく認識している様子を示し、ArmプロセッサでWindowsを問題なく動作できることを強調していた。
Core Ultraを搭載したSOM「MTH968」は、AI(人工知能)アプリケーションをターゲットとしたもの。Core Ultraには、AI処理に活用するNPU(Neural Processing Unit)が搭載されていて、「産業用PCで高度なAI処理をできるようになるので、開発者はCore Ultraを搭載したSOMの登場を待ち望んでいた」とChung氏は述べる。MTH968は、COM Express Type 6のフォームファクターを採用(サイズは95×95mm)。デュアルチャネルのDDR5とNVMe SSDを搭載している。産業オートメーションやスマート輸送、AIを活用するIoT(モノのインターネット)など幅広い分野に向ける。
無人店舗などの用途を想定したセルフサービスキオスクのデモも展示した。IntelのCPU「第13世代 Core i9-13900TE」とGPU「Arc A380」を搭載していて、1個のCPUで複数のOSを同時に動作できることと、AIの推論を活用できることが特徴だ。デモでは、Core i9-13900TEでWindowsとUbuntuを動作させ、4種類のサイネージを表示していた。Arc A380は、キオスクのユーザーの顔を認識し、年齢や性別などを推定するための推論に使うことを想定している。ユーザーに最適な商品をオファーするなどのサービスが可能になる。
Chung氏は今後、日本で注力する分野について、半導体製造装置、工作機械、ロボと関連、医療機器を挙げる。「これらは日本において成長市場であり、当社も成長が見込める分野だ」と強調した。
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