NECは、Beyond 5G/6Gに向けたミリ波分散アンテナ(DA)の小型化や低電力化、低コスト化を可能にする「光ファイバー無線システム(RoF)」と「その伝送方式」を開発、規格適合の実証にも成功した。
NECは2024年6月、Beyond 5G(第5世代移動通信)/6G(第6世代移動通信)に向けたミリ波分散アンテナ(DA)の小型化や低電力化、低コスト化を可能にする「光ファイバー無線システム(RoF)」と「その伝送方式」を開発、規格適合の実証にも成功したと発表した。
ミリ波帯を活用したワイヤレス通信は、Beyond 5G/6Gで注目されている。ただ、ミリ波帯は大きな伝搬損失と高い直進性があり、十分なサービス品質を実現するには、障害物への対応などが求められている。この解決法として、多くのDAを設置することが有効となるものの、DAの形状や消費電力、導入コストなどが課題となっていた。
RoFとしては、無線ユニット(RU)で生成されるデジタル信号をDAにファイバー伝送する「デジタルRoF」や、RUで高周波アナログ信号を生成し、DAにファイバー伝送する「アナログRoF」がこれまで用いられてきた。ただ、いずれも消費電力やコストの面で課題があったという。
NECが新たに開発した「1-bitファイバー伝送方式」と、それを用いた「1-bit RoFシステム」は、デジタルRoFとアナログRoFの長所を兼ね備えたシステムだ。今回は、1-bitパルス信号に変換する1-bit変調器の信号対雑音やひずみ特性を改善するため、新たな技術を採用した。
具体的には、ダウンリンク向けの1-bitファイバー伝送方式として、雑音やひずみ特性に優れた「ベクトル分解方式」を開発した。アップリンク向けには、1-bitファイバー伝送で発生する信号ひずみをキャンセルし、元の信号を再生する「デジタル再生方式」を開発した。これらの技術により、1-bitファイバー伝送時の信号対雑音やひずみ特性の劣化を抑えることができた。
NECは、開発した1-bit RoFシステムを検証するため、RUと小型DAで構成する40GHz帯向け光ファイバー無線機を試作。実機でモバイル通信規格に適合することを確認した。
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