ミネベアパワーデバイス(旧:日立パワーデバイス)がドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」において、開発中の電気自動車(EV)向けSiCパワーモジュールを初公開した。同社独自の構造である「VC Fin-SiC」構造のSiC トレンチMOSFETを採用する予定で、量産に向けて開発を進めているという。
ミネベアパワーデバイス(旧:日立パワーデバイス)はドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」(2024年6月11〜13日)において、開発中の電気自動車(EV)向けSiCパワーモジュールを初公開した。低オン抵抗と高信頼性を両立した同社独自の構造である「VC Fin-SiC(Vertical-channel Fin-SiC MOSFET)」構造のSiC トレンチMOSFETを採用する予定で、同社初となるEV向けのSiCパワーモジュール展開に向け、開発を進めているという。量産開始時期は明かしていない。
ミネベアパワーデバイスは、日立製作所の子会社でパワー半導体を手掛ける日立パワーデバイスが前身で、ミネベアミツミの買収によって2024年5月2日に会社名を変更した。
展示していたのは、2in1タイプの車載向けSiCパワーモジュールだ。同製品では、低オン抵抗と高信頼性を両立した独自の「VC Fin-SiC」構造のSiC トレンチMOSFETを採用する方針だとしている。
VC Fin-SiCは、フィン(ひれ)状のトレンチが特徴で、フィンの側面に形成された広いチャネルと、ドーパント濃度が高く幅の狭いJFETを採用することで、低オン抵抗と高信頼性を両立するもの。日立製作所/日立パワーデバイスは2023年5月のパワー半導体業界の国際学会「ISPSD 2023」でVC Fin-SiCについて発表していて、「JFET構造の真上にチャネルがあるため、フィンピッチやチャネル長を微細化することで容易に性能向上が可能で、今後最も期待される構造の一つだ」などと紹介している。
今回同社が展示していたのは定格電流800A、定格電圧1200Vのデバイスだ。定格電流は600Aのデバイスも予定する他、1000Aまでの拡大も視野にあるといい、「顧客の用途に合わせた形で対応できるようにラインアップ拡充していく」という。なお、展示品(上)自体はあくまでコンセプトとして展示したもので、パッケージは変更される予定だという。
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