極めて優れた半導体特性で知られるダイヤモンド。ダイヤモンド半導体の開発は現在、どこまで進んでいるのだろうか。Advent Diamondの技術開発を紹介しながら、現状を伝える。
この記事は、2024年5月17日発行の「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版3月号」に掲載している記事を転載したものです。
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ダイヤモンドは極めて優れた特性でよく知られており、長きにわたりさまざまな用途が期待されてきたが、潜在的な半導体としては商業化を阻む障害に直面してきた。だが、最近Advent Diamondが成し遂げた進歩によって、技術面の重要課題の一つが克服されそうだ。そうした進歩の中でも特筆すべきなのは、リンをドーピングした単結晶ダイヤモンドを製造できるようになったことだ。それにより、n層を作り出すことが可能になった。
この進歩が極めて重要なのは、ダイヤモンドにおいては、リンが比較的浅い準位のn型ドーパントになるからだ。リンをドーパントとして用いることで、ダイヤモンドが持つ比類のない特性を利用する電子デバイスの実現が可能になった。そうした特性には、極めて優れた熱伝導性、広いバンドギャップ、頑丈な機械的性質が挙げられる。今回のブレークスルーによって従来の限界を克服したことで、ダイヤモンドをベースとした技術の新時代が開かれ、量子センシングや量子コンピュータ、パワーエレクトロニクス、放射線検知といった領域における進歩が確実になったといえるだろう。
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