国際自動車工業連合会(OICA)によると、2023年の自動車生産台数は前年比10%増の9350万台だったが、これも史上最高だった2017年の9730万台を下回る。自動車の生産台数は2018年と2019年に緩やかに減少し、2020年のパンデミック期には工場の操業停止で15.4%減少した。
SIは、「それでも自動車需要はおおむね満たされているようだ」と指摘する。S&P Global Mobilityは、2024〜2026年の普通自動車生産台数の成長率は0〜2%の範囲内に収まると予測している。
こうした自動車生産台数の成長鈍化傾向の中でも車載半導体が成長してきたのは、自動車1台当たりの半導体搭載数が増加してきたからだ。多くの電子部品を搭載するxEV(電動車)の市場が成長していることで、車載半導体の需要が高まっている。Autovista24の調査によると、EV販売台数の前年比成長率は、2022年は54%、2023年は35%だったという。しかし、2024年以降は成長が緩やかになると予想されている。
運転支援システムも車載半導体市場にとって重要なけん引役だが、自動運転レベル4/5が一般化するのはまだ先になるとみられる。McKinsey&Companyは、2030年に販売される乗用車の12%に自動運転レベル4が搭載されると見込む。S&P Global Mobilityはさらに保守的な予想をしていて、2035年時点でも自動運転レベル4搭載の自動車はわずか6%程度だとみている。このことからSIは、今後数年間、自動運転車が車載半導体市場に大きな影響を与えることはないと予想している。
SIは、「半導体市場が低迷していた2022〜2023年、自動車は市場で唯一の明るい話題だった」と振り返る。しかし、前述のような自動車の生産鈍化やEVの成長鈍化、自動運転の導入遅れなどが重なり、車載半導体市場の成長率は低下していくとみられる。
今後数年間、自動車が半導体市場のけん引役を担うことは難しそうだ。自動車に代わって、AI(人工知能)用途で成長が加速するコンピュータ市場や、需要低迷から回復したメモリ市場、2022〜2023年の落ち込みから回復したスマートフォン市場などが半導体市場をけん引することになるとみられる。
SIは、車載半導体を収益の柱としている大手ベンダーが今後数年間、市場の成長に後れを取る可能性が高いと指摘している。
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