キーサイト・テクノロジーの新社長に開発部門出身の寺澤紳司氏が就任した。開発部門出身者が同社の社長に就くのは初めて。就任記者会見ではAI(人工知能)戦略や半導体向けソリューションの展望を語った。
Keysight Technologies(以下、Keysight)の日本法人であるキーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は2024年8月1日、同社社長として新たに寺澤紳司氏が就任したことを発表した。翌8月2日には寺澤氏が就任記者会見を行った。
寺澤氏は1988年にキーサイトの前身である横河ヒューレット・パッカードに入社以来、技術畑を歩み、半導体パラメトリックテスト事業部 マーケティング部 部長やKeysight Technologiesのバイスプレジデントおよび半導体テストソリューション事業部長を歴任した。開発部門出身者がキーサイトの社長に就くのは寺澤氏が初めてだ。同氏は自らを「電気工作/計測器オタク」だと語り、会見では自社のオシロスコープを自費で購入して楽しんでいるとも明かした。
社長就任にあたっては「再び日本でも半導体が脚光を浴びている。日本の顧客を支え、ひいては半導体産業の再構築にも尽力したい」と意気込み、社内では開発部門と営業部門の連携を強化したいと述べた。
寺澤氏は、昨今のAI(人工知能)需要の加速に触れ、キーサイトでも3つの観点からAI活用に取り組んでいると説明した。「自社業務の生産性向上」「AI技術を取り入れたソリューションの顧客への提供」「AI市場へのツール提供」だ。
自社業務の生産性向上については、反復的な作業やソフトウェアエンジニアのコード生成、Keysightのソリューション自体のテストなどの自動化を進めているという。
顧客に提供するAIソリューションとしては、例えば、AI駆動型のテスト自動化ソリューションがある。医療分野のソフトウェアシステムを手掛ける顧客は、個人情報を大量に扱うシステムであることからテストに多くの時間を割いていたが、このソリューションによってテスト時間を92%削減することに成功したという。他にも自動運転技術向けに、車載レーダーが検出するレーダー反射をエミュレートする技術を開発し、アルゴリズムトレーニングを支援している。
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