米国資本の半導体メーカーであるSMC Diode Solutions(SMC)は、中国 南京で2つ目のパワーディスクリート工場の稼働を開始した。総面積は2.8万平方メートルで、建設には30億人民元(約615億円)を投じた。高性能/高電圧整流器を製造する予定で、SMCの生産能力は大幅に増大していくとみられる。
中国に本社を置く米国資本の半導体メーカーであるSMC Diode Solutions(以下、SMC)は2024年6月、中国 南京で2つ目のパワーディスクリート工場の稼働を開始した。総面積30万平方フィート(約2.8万m2)のこの新工場は、2022年9月の着工からわずか21カ月で量産に至った。2024年第4四半期には、顧客向けに高性能/高電圧整流器の出荷を開始する予定で、SMCの生産能力は大幅に増大していくとみられる。
新工場のウエハー年間生産量は120万枚を超え、この工場によってSMCの総生産能力は4倍に増大する見込みだ。同社は新工場に30億人民元(約615億円)を投じていて、半導体市場における地位を強化するだけでなく、300人の新たな雇用も創出することになる。これには成長とイノベーションに対する同社の取り組みが反映されているといえる。
SMCの会長兼CEO(最高経営責任者)であるYunji Corcoran氏は、米国EE Timesの姉妹媒体であるPower Electronics Newsのインタビューの中で、再生可能エネルギー分野への貢献について意気込みを示し、グリーンエネルギーソリューションを推進していく上での同社の役割を強調した。
SMCが南京に新工場を開設すると決断した背景には、いくつかの戦略的要素による影響がある。Corcoran氏は重要なけん引要素として、急激に拡大する電気自動車(EV)市場と再生可能エネルギー市場を挙げ、「パワーエレクトロニクス市場は、2028年までに333億米ドル規模に達する見込みだ」と述べた。
新工場では、トレンチショットキー整流器や、超高速整流器、SiCショットキーバリアダイオード(SBD)、MOSFETなどの高性能部品を製造する予定だ。既存工場の製品を補完し、SMCは増大する需要に対応していくことができるだろう。
30億人民元という投資額の大きさから、SMCが市場展望と製品の性能に自信を持っていることが伺える。Corcoran氏は、「われわれは再生可能エネルギー分野に注力することで、多額の投資を呼び込み、事業拡大につなげることができた」と述べる。
南京を選んだ背景には、SMCの既存工場に近いために、リソースを共有し、立ち上げをスムーズに進められるという戦略がある。Corcoran氏は、「南京にはさまざまな一流大学があり、安定した産業環境も整っているため、当社が成長していく上で完璧な場所だといえる。また私にとって南京は、生まれ育ったなじみ深い街でもある」と述べている。
SMCは今回の事業拡大により、中国および世界の半導体市場における存在感を強めていくだろう。
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