日本アビオニクスは、パワー半導体チップとリードフレームや放熱板を接合する時に発生するボイドを抑えられる「ボイドレスはんだ付け」技術を新たに開発した。同社が保有する「パルスヒートはんだ付け」と「超音波接合」の技術を融合することで実現した。
日本アビオニクスは2024年10月10日、パワー半導体チップとリードフレームや放熱板を接合する時に発生するボイドを抑えられる「ボイドレスはんだ付け」技術を新たに開発した。同社が保有する「パルスヒートはんだ付け」と「超音波接合」の技術を融合することで実現した。
パワー半導体は、電動車のインバーターや産業機器などに用いられる電力変換システム、通信用基地局装置などさまざまな用途に採用されている。特に、高電圧・高電流、低損失などの特長を持つSiCパワー半導体は、Siパワー半導体からの移行もあり需要が拡大する。
こうした中で実装工程における放熱性や接合信頼性の低下が課題となっている。パワー半導体チップをリードフレームや放熱板とはんだ付けする時、ボイドが発生するからだ。これを回避するため従来は、ギ酸や水素を用いた真空リフロー技術で対応してきた。しかし、この方法だと環境への影響や安全対策、製造コストの増大など、いくつかの課題もあった。
そこで同社は、これまで蓄積してきた2つの技術を組み合わせ、新たな接合技術を開発した。その1つは、金属ツールに大電流を流し抵抗発熱を利用して熱と加圧で瞬間的にはんだ付けを行う「パルスヒートはんだ付け」技術。もう1つは、デジタルATHMOS(Automatic Tuning Hold Master Oscillator System)制御機能を備えた超音波発振器から出力される、繰り返し精度が高く安定した超音波振動を用いた「超音波接合」技術である。
これらの技術を融合することで、パルスヒートの瞬間加熱により高品質なはんだ付けが行える。その上、超音波振動によるキャビテーション効果によって、「酸化膜」と「はんだボイド」を除去できるという。大気中ではんだ付けができることも大きな特長の1つとなっている。
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