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世界最大級のパワエレ展示会「PCIM 2024」で見た最新動向EE Exclusive(4/10 ページ)

» 2024年10月31日 12時00分 公開
[永山準EE Times Japan]

 Friedrichs氏はこの他にも、さまざまなアプリケーションにおける競合他社製品およびG1とG2を比較した図を示しながらその性能を強調(下図)、「ここに示す全てで最も優れたベンチマークを達成している。これは非常に幅広い用途で高い性能を発揮できることを示す興味深い技術的特長だ」と語っていた。

さまざまなアプリケーションにおける競合他社製品およびG1とG2を比較した図 さまざまなアプリケーションにおける競合他社製品およびG1とG2を比較した図[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 下図がCoolSiC MOSFET G2のポートフォリオで、産業および車載グレードでディスクリートおよびモジュール製品を拡充していく。パッケージについては高効率の上面放熱(Top Side Cooling/TSC)型パッケージ品の投入も進めていく方針だ。

CoolSiC MOSFET G2のポートフォリオCoolSiC MOSFET G2のポートフォリオ CoolSiC MOSFET G2のポートフォリオ[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 同氏は、スルーホールデバイスは優れた熱性能を発揮するもののマニュアル実装が必要なこと、下面放熱品は自動実装が可能だが熱性能には限界があることなどそれぞれ課題がある中、TSC品は高い熱性能と完全な自動実装を両立可能という点をメリットとして挙げた。同社によると、耐圧1200V品を用いたサーボモーターの駆動回路において標準品とTSC品で構成したものを比較した場合、熱抵抗を65%削減できるという。IMS(絶縁金属基板)ボードが不要になることでコストやサイズも削減可能となる。

スルーホールデバイス、下面放熱、上面放熱の比較CoolSiC MOSFET G2のポートフォリオ 左=スルーホールデバイス、下面放熱、上面放熱の比較/右=耐圧1200V品を用いたサーボモーターの駆動回路における比較[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

AIサーバ向けに特化、400V耐圧品を初投入

 Friedrichs氏はさらに、今回、初めて耐圧400V製品を投入した点も強調した。同氏は、「SiCはこれまで常に高電圧と関連付けられてきたことから、これは非常に興味深いことだ。特定のトポロジーに必要な高い性能を発揮するもので、つまりAI(人工知能)サーバ向けで非常に高い潜在能力がある。そしてよく知られた大手顧客が後ろ盾となっておりこの技術が発展していくと確信している」と強調していた。

 同社は2024年5月、AIサーバのAC-DC段で使用するために特別に開発した製品としてこの400V耐圧品を発表している。同製品は、既存の650V耐圧SiCおよびシリコンのMOSFETと比較し、導通損失とスイッチング損失が極めて低いのが特長で、マルチレベルPFCに実装したAIサーバPSU(電源ユニット)のAC-DC段は100W/in3を超える電力密度を達成し、効率は99.5%に達することが実証されているという。

 今後、需要が高まるAIサーバ電源を中心としつつ、太陽光発電および蓄電システム(ESS)、インバーターモーター制御、産業用電源および補助電源(SMPS)、住宅用ソリッドステートサーキットブレーカーなど向けとしても展開していく方針だという。

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