三菱電機も今回、展示のハイライトの一つとして、モールドタイプのxEV用インバーター用パワー半導体モジュール「J3」シリーズを紹介していた。
J3シリーズは、三菱電機が車載パワー半導体モジュールの量産品として初めてSiC-MOSFETを採用した製品だ。2024年1月に発表し、同年3月からサンプル出荷を開始している。
2in1仕様のパワー半導体モジュール「J3-T-PM」を基本構成要素とし、同社独自のピンフィン形状を持つアルミフィンにJ3-T-PMを3個搭載する「J3-HEXA-S」および、J3-T-PMを6個搭載する「J3-HEXA-L」といった形で、さまざまなxEV用インバーター設計にスケーラブルに対応可能となっている。
J3シリーズでは、これまでグリスを用いていた冷却器との接続について、はんだで直接実装可能にすることで熱抵抗を約30%削減し、十分な放熱性能を確保。これによって、モジュールサイズも従来比40%の小型化を実現している。
その他の大きな特長として挙げるのが、DESAT(Desaturation fault detection))ダイオードや温度センサーダイオード、バランス抵抗などを1つに集約した「マルチフンクションチップ」を搭載した点だ。これによって小型、高出力密度化を実現した。また、従来オンチップの電流センサーによってチップの保護を行っていたが、今回は短絡保護用の制御端子であるSCM端子を用いた高速短絡保護技術(寄生インダクタンスによって短絡動作時の高い電流変化率を検出する)を実現したことで「オンチップセンサーが無くとも、従来同様に高速な保護が可能になった」(説明担当者)している。
なお、J3シリーズにはRC-IGBT搭載版も用意していて、搭載チップの種類やモジュール並列数などを変更することで、幅広い出力に対応可能としている。
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