「世界初」321層NAND型フラッシュメモリを量産、SK hynix : 1Tビット、25年上期に供給へ
SK hynixが321層のNAND型フラッシュメモリを「世界で初めて」(同社)量産開始した。TLC方式で、容量は1Tビット。2025年上期に顧客へ供給予定だという。
SK hynixは2024年11月21日(韓国時間)、「世界初」(同社)となる321層のNAND型フラッシュメモリの量産を開始したと発表した。TLC方式(3ビット/セル方式)で、容量は1Tビット。2025年上期に顧客へ供給予定だ。
321層のNAND型フラッシュメモリ[クリックで拡大] 出所:SK hynix
同製品は、前世代と比較しデータ転送速度が12%、読み出し性能が13%、データ読み出しの電力効率が10%以上、それぞれ向上しているという。SK hynixは、「低消費電力と高性能を必要とする初期のAI(人工知能)アプリケーションに対し321層品を提供することで、製品用途を着実に拡大していく計画だ」としている。
SK hynixは2023年6月にも、238層NANDを「業界で初めて」(同社)量産開始している。今回の発表について同社は「積層技術のブレークスルーを達成し、300層以上のNANDを量産する世界初のサプライヤーになった」と強調している。
300層以上の積層は、同社がメモリセルスタックを3つにする、「3プラグ」プロセス技術の採用に成功したことで実現したという。同社は「優れた生産効率で知られるこのプロセスは、3回のプラグ工程終了後、最適化されたフォローアップ工程を経て、3つのプラグを電気的に接続する。このプロセスでは、当社は低応力材料を開発し、プラグ間の位置合わせを自動で修正する技術を導入した」と説明している。238層NANDと同じ開発プラットフォームを採用し、プロセス切り替えによる影響を最小限に抑え、生産性も従来比59%向上したという。
SK hynixのNAND開発責任者であるJungdal Choi氏は今回の製品によって、同社がAIデータセンターおよび、オンデバイスAI向けSSDに代表されるAIストレージ市場のけん引役に一歩近づいたとする。「当社は、HBM(広帯域メモリ)が主導するDRAM事業の上に、超高性能NAND分野の完璧なポートフォリオを追加することで、フルスタックAIメモリプロバイダーへと前進する軌道に乗っている」(Choi氏)
キオクシアとSK hynixがMRAMの大容量化技術を共同開発
キオクシアは2024年10月21日、国際会議「IEDM 2024」において、新コンセプトの半導体メモリ技術に関する3本の論文が採択されたと発表した。
「超垂直な」メモリホールを高速加工 1000層NANDの実現に向け
Lam Researchは、1000層を超える3D(3次元) NANDフラッシュメモリの加工に向け、極低温絶縁膜エッチング技術の最新世代「Cryo 3.0」を発表した。100:1という高いアスペクト比のメモリホールを、極めて垂直に高速で加工できるという。
FMSの「生涯功績賞」を3D NANDフラッシュ開発で東芝の5人が受賞
「FMS(Flash Memory Summit)」では毎年、フラッシュメモリ技術関連で多大な貢献を成した人物に「Lifetime Achievement Award(生涯功績賞)」を授与してきた。2024年の「FMS(Future Memory and Storage)」では、東芝(当時)で3次元NANDフラッシュメモリ技術「BiCS-FLASH」を開発した5人の技術者が同賞を受賞した。
第9世代NANDベースのSSD、Micronが量産開始
Micron Technologyは、第9世代(G9)となるTLC NANDフラッシュメモリを搭載したSSD(ソリッドステートドライブ)「Micron 2650 NVMe SSD」の量産出荷を始めた。競合製品に比べシーケンシャルリードで最大70%、シーケンシャルライトで最大103%も上回るなど、クラス最高レベルの性能を実現したという。
2024年はDRAM/NAND市場が回復へ 需給バランスも正常化
市場調査会社のYole Groupは、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の市場分析を発表した。2023年のDRAM/NANDの売上高は供給過剰で価格が下落し2016年以来の低水準となったが、2024年にはデータセンター/民生機器などの需要増と各社の戦略的減産によって需給バランスが正常化し、市場が回復に向かう見込みだという。
「3D NANDの進化」に必要な要素とは
新興の不揮発性メモリと並行して、3D NAND型フラッシュメモリの開発も続いている。DRAMやSCM(ストレージクラスメモリ)との性能のギャップを少しでも埋めるためにどのような技術開発が進んでいるのだろうか。
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