3Dインテグレーションは、インタフェースを追加する必要がない。異なるユニットが、1つのワイヤで接続されているかのように通信するからだ。電圧の変更も必要ない。Beyne氏は、「3Dスタッキングはより高い性能を実現するが、設計プロセスを変える必要があるなどのデメリットもある」と述べる。
「真の垂直統合を実現するには、3Dスタックを協調設計する。システムを3次元に分割し、1つのEDAオペレーションで、全てのユニットの配置配線(place-and-route)と最適化をインタフェースのオーバーヘッドなしで実行するのだ」(Beyne氏)
3Dインテグレーションを採用する場合に生じる懸念は、設計プロセスの再検討だけではない。もう1つ、“パワーウォール”の問題がある。より多くのデバイスを積み重ねると、ユニット当たりの電力密度が高くなり、システムの熱を除去することが難しくなるのだ。
Beyne氏は、「電力密度の高いより大型のシステムから熱を除去するサブシステムが必要だが、同時に、基板からパッケージ、デバイスまでの小さいエリアを介して、3Dスタックのデバイスにより多くの電力(電流の意)を供給する必要がある。1つのソリューションとしては、より高い電圧をパッケージに供給し、その高電圧を、パッケージ内部で、またはチップ/インターポーザーそのものが統合型の電流電圧レギュレーター回路を使用して、低電圧に変換するという方法がある」と述べる。
同氏は、「設計の観点から見ると、チップはさまざまなIP(Intellectual Property)ブロックで構成されている。これらのIPブロック内で、サブセルレベルや標準セルレベル、トランジスタレベルに至るまで、さまざまなレベルで相互接続を作成することができる」と説明する。
「ボンドパスや、外部I/O接続から、グローバルインターコネクトレベル、中間インターコネクトレベル、そして最終的にはローカルインターコネクトへと進んで行く。このため、インターコネクト階層のさまざまなレベルでシステムを分化すると、3次元のインターコネクト密度がますます高くなる」(Beyne氏)
スタックされたコンポーネントは、アプリケーションに応じてレベル1/2/3キャッシュで分割できる。いずれの場合も、相互接続の密度を指数関数的に拡大するには、より小さな相互接続のピッチが必要になる。
スケールが桁違いであるため、単一の技術でこれらのさまざまな可能性を全てカバーすることはできない。「imecの3Dプログラムでは、これらの分野の多くに積極的に取り組んでおり、主にダイツーウエハー(Die to Wafer)ハイブリッドボンディング、スタッキングおよびマイクロバンプスタッキング、ウエハーツーウエハー(Wafer to Wafer)ハイブリッドボンディングおよびナノTSV(シリコン貫通ビア)集積化に重点を置いている」とBeyne氏は述べている。
imecは2023年12月に開催された国際学会IEDMで、300mmウエハーのハイブリッドボンディングに成功し、400nmの相互接続ピッチを実現したことを報告した。これには、ウエハー全体でのオーバーレイ制御を100nm未満にする必要があるという。
Beyne氏によると、imecは業界のテクノロジー採用の一歩先を行こうとしている。「われわれはこれをウェハーツーウェハーやダイツーウェハーのボンディングの分野で行ってきたが、裏面ナノTSVボンディングやマイクロバンプアセンブリの分野でも続けている。これら全ての異なるテクノロジーを組み合わせることで、われわれは複雑な3D統合システムという壮大なビジョンに取り組むことができる」
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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