FRAM向け新材料を開発、メモリ動作電圧が6割減に:150℃のプロセス温度で製膜可能(2/2 ページ)
従来に比べ低温プロセスで製膜ができるのも大きな特長の1つである。HfO2系の強誘電体メモリを製作するには、一般的に400〜600℃以上の高温プロセスが必要となる。これに対し今回は、150℃以下のプロセス温度で製膜ができた。低温で処理できることから、AIチップなどの製造工程では、メモリセルとロジックセルを近い場所に配置することが可能となる。これによって接続するセル間の配線長が短くなるため、素子の電力消費も削減できるという。
研究チームは今後、分極反転のメカニズムを解明したり、基板や電極との界面における強誘電性への影響などを調べたりして、早期実用化を目指す。さらに、GaScNの極薄膜化などにも取り組んでいく計画である。
今回の研究成果は、産総研センシングシステム研究センターの上原雅人主任研究員や秋山守人首席研究員、平田研二主任研究員、Anggraini Sri Ayu主任研究員、山田浩志チーム長および、東京科学大学物質理工学院材料系の舟窪浩教授らによるものである。
- 生体神経組織の動作を模倣するトランジスタを開発
産業技術総合研究所(産総研)と東京大学、九州大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学らによる研究グループは、生体神経組織の動作を模倣できるMOSトランジスタの動作実証に成功した。従来のCMOSトランジスタに比べ100万倍以上もゆっくり動作し、消費電力は500pWと極めて小さい。
- Inを含まないCIS型太陽電池で光電変換効率12%超
産業技術総合研究所(産総研)は、インジウム(In)を含まないCIS型薄膜太陽電池で、12%を超える光電変換率を達成した。タンデム型太陽電池のトップセルに適した光吸収層を開発することで実現した。
- 産総研、ペロブスカイト太陽電池のセルを自動作製
産業技術総合研究所(産総研)は、「ペロブスカイト太陽電池自動セル作製システム」を開発した。「世界初」(産総研)というこのシステムを活用すれば、材料やプロセスの開発時間を短縮でき、研究開発の効率を大幅に高めることが可能となる。
- サマリウム−鉄−窒素焼結磁石の高性能化に成功
日本特殊陶業と産業技術総合研究所(産総研)は、新たに開発した焼結助剤と磁石合成プロセスを用い、高性能の「サマリウム−鉄−窒素焼結磁石」を作製する技術を開発した。EV(電気自動車)に搭載される高効率モーター用磁石などに適用していく。
- プラズマ加工による半導体素子の劣化を定量評価
産業技術総合研究所(産総研)は名古屋大学低温プラズマ科学研究センターと共同で、プラズマ加工による半導体素子へのダメージ量を、簡便かつ短時間で定量評価することに成功した。
- 性能低下を回避して長寿命を実現 小型酸素センサー
産業技術総合研究所(産総研)は、テクノメディカや東北大学、富士シリシア化学および、筑波大学らと共同で、新規開発の参照極を用い、連続使用が可能な「長寿命小型酸素センサー」を開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.