「中工程」は厳密には「後工程」の一部だが、前工程並みの技術や微細化が必要で投資額も大きくなるため、このような呼び方が定着しつつある。SoCのチップレット、GPUとHBMの1パッケージ化などが中工程の代表例だ。現時点では前工程の中心的存在であるファウンドリー各社が積極的に取り組んでいる。グラインダー、モールディング装置、ワイヤボンダーといった装置の需要が急増している。後工程専門のOSAT企業も参入していて、今後は用途が広がることが予想される。
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2024年初頭からこの問題が表面化した。2021年から2年以上にわたって半導体不足は継続していたが、とりわけ車載半導体は不足問題が深刻だった。ユーザー間でのデバイスの取り合いが過剰発注を生み、過剰在庫を発生させた。クルマの電動化のキーデバイスであるパワー半導体も同様の状況に陥った。この問題は2024年内に収束しそうだが、2024年の特徴的な現象だったといえるだろう。ある大手車載半導体メーカー社員が「過剰発注は明らかだったが、顧客の発注を制御できる状態ではなかった」と語っていたのが印象的だった。
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SEMIなどによれば、2024年の世界半導体製造装置市場において約47%が中国に出荷されているという。半導体製造装置の中国向け出荷割合は2022年が26%、2023年が35%と年々増えている。しかし、調査会社Omdiaによれば、中国ブランドの半導体製品出荷は世界市場の5%未満(2023年)にとどまっている。中国では量産体制が整わないと商談に参加できないケースが多く、実績のないまま補助金頼みで大量に装置を導入する事例が多いという。世界市場には中国産半導体がほとんど流通しておらず、需給バランスにも影響が出ていないが、この状態がいつまで続くのかは分からない。
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キオクシアは12月18日に東証プライム市場に上場する予定だ。今回で4回目の上場チャレンジである。日本のメモリメーカーと砦(とりで)として、無事に上場を果たし、株式市場からの資金調達をスムーズにできるよう、体制を整えていただきたい。設備投資合戦に後れを取ると、一気に劣勢に回ってしまうのがメモリ業界である。上場を果たすことで、競合他社と同じスタートラインに立てるのだから、今後のキオクシアにはぜひとも期待したい。
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パワー半導体分野は、パワー半導体の大口ユーザーでもあるデンソーを中心とした提携の動きが注目されている。2024年は厳しい市況だったが、中長期で見ればIGBTやMOSFETなどシリコンパワー半導体の300mmウエハー量産、SiCの200mmウエハー量産など、業界ではウエハー口径の拡大が進んでいる。それだけ需要が見込める半面、供給側の寡占化が進む可能性が高い。ユーザーから見れば、選択肢が狭まる可能性がある。富士電機やロームなどと提携や連携を進めるデンソーの戦略は必然的なものといえるだろう。
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