今はプロセスデザインキットの準備を進めているはずで、顧客のための試作ができるようになるのは2025年の終わりごろではないか、と予想される。ただ実際に試作が顧客で評価されるのは2026年からで、2027年からの量産に間に合わせたい、という段取りのはずである。高いハードルにチャレンジしているRapidusだが、何とかがんばってほしいものである。
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SoCのチップレット、GPUとHBMの1パッケージ化など、すでに強いニーズが存在する。ただし実用化に至っている事例は少なく、これらの技術を普及させるためには、規格の統一、開発環境の整備など、やるべきことがいろいろある。2025年は、そういった動きがみえる年だろう。
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不確定要素が多く予想は難しいが、中国側にしてみれば「とくかくレガシー半導体を作れるだけ作って世界市場に出荷しよう」「投資したのだから現金を稼ごう」という動きは十分にあり得るだろう。世界市場の需給バランスにも影響し得るので、要注意な動向である。
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宮城県へのPSMC誘致が白紙撤回されたのは残念だった。だが、これで終わりということはなく、むしろこの件を教訓に積極的な動きが再度展開されると筆者は予測する。半導体製造を国内で活性化させるためには外資の助けが必要であり、今後もこのような動きは続くだろう。
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国内外で動きが活性化する可能性が高い。特にSiCやGaNなどの化合物パワー半導体は、アプリケーションを意識した設計、製造が重要になるといわれている。デンソーのような提携は、今後国内外で多くみられるだろう。
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昨今の半導体業界では、IntelからNVIDIAへ「新旧交代」とも取れるような動きが見られる。何が起こるか分からない「戦国時代」が到来したのかもしれない。筆者としては、読者の皆さんとの意見交換をできれば幸いである。「大山レポート」第2弾も発行したので、興味のある方はこちらのWebサイトをご参照いただきたい。
慶應義塾大学大学院にて管理工学を専攻し、工学修士号を取得。1985年に東京エレクトロン入社。セールスエンジニアを歴任し、1992年にデータクエスト(現ガートナー)に入社、半導体産業分析部でシニア・インダストリ・アナリストを歴任。
1996年にBZW証券(現バークレイズ証券)に入社、証券アナリストとして日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通、ニコン、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソニー、パナソニック、シャープ、三洋電機などの調査・分析を担当。1997年にABNアムロ証券に入社、2001年にはリーマンブラザーズ証券に入社、やはり証券アナリストとして上述企業の調査・分析を継続。1999年、2000年には産業エレクトロニクス部門の日経アナリストランキング4位にランクされた。2004年に富士通に入社、電子デバイス部門・経営戦略室・主席部長として、半導体部門の分社化などに関与した。
2010年にアイサプライ(現Omdia)に入社、半導体および二次電池の調査・分析を担当した。
2017年に調査およびコンサルティングを主務とするグロスバーグ合同会社を設立、現在に至る。
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