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量子コンピュータに実装する量子回路を大幅圧縮高性能な有機EL材料探索で実証

デロイト トーマツは、高性能な有機EL材料探索時の精度を高めるため、量子コンピュータに実装する量子回路を圧縮して効率化する実証実験に成功した。今回の実証実験は、イスラエルの量子ソフトウェアスタートアップClassiqと三菱ケミカルの協力を得て行った。

» 2024年12月23日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

化学分野の他、創薬やAI、金融、製造、物流などにも適用可能

 デロイト トーマツは2024年12月、高性能な有機EL材料探索時の精度を高めるため、量子コンピュータに実装する量子回路を圧縮して効率化する実証実験に成功したと発表した。今回の実証実験は、イスラエルの量子ソフトウェアスタートアップClassiqと三菱ケミカルの協力を得て行った。

 三菱ケミカルはこれまで、「量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)」を用いて、新材料の探索を行ってきた。ところがこの手法だと、長い量子回路の操作が必要なため、ノイズの影響が蓄積して計算精度が担保できないなど課題があった。

 そこで3社は、三菱ケミカルが保有する実材料のデータを用い、量子回路の圧縮が可能かどうかを検証した。また、誤り耐性ハードウェアにおいて真価を発揮する「量子位相推定アルゴリズム(OPE)」についても実証した。

 具体的には、QAOAやOPEのアルゴリズムについて、Classiq製の「Qmod(Quantum Modeling Language)」で記述されたモデルを元に、「Classiq Platform」を用いてより効率的な量子回路を生成した。この結果、従来技術で生成した量子回路に比べ、QAOAは計算精度を維持しつつ最大54%も量子アルゴリズムの圧縮に成功。同じくOPEは最大97%の圧縮を実現した。

量子回路圧縮の結果。左がQAOA、右がQPE[クリックで拡大] 出所:デロイト トーマツ他

 今回開発した量子回路の圧縮手法は化学分野の他、創薬やAI、金融、製造、物流など幅広い分野に適用でき、量子コンピュータの早期実用化に弾みをつけるとみられる。

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