図6は、2039年までのロジックのロードマップを示している。現在の2024年時点では、TSMCが最先端の「N3」ノードを量産しており、そのトランジスタはFinFETで、微細配線は23nmピッチであり、NA0.33のEUV(以下Low NAと呼ぶ)が使われている。
そして、シンギュラリティが到来すると予測されている2029年には、テクノロジーノードは「A10」となり、トランジスタは第3世代のNanosheet(Gate All Around/GAA)で、微細配線は18nmとなり、NA0.55のEUV(High NA)が使われる。さらには、トランジスタの裏から電源を供給するBackside Power Delivery Network(BSPDN)が実用化される見込みである。
図7は、Low NAとHigh NAが、いつ頃、どのように使われるかを示している。2020年のN5ノードで本格的にLow NAが使われ始め(最初のお試しはTSMCの「N7+」)、既にN5〜N3ではLow NAのダブルパターニングが使われている。
そして、ASMLの予測では、2027年のA14ノードからHigh NAが使われ始め、A10頃からHigh NAのダブルパターニングが適用される見込みとなっている。
それでは、実際に、先端ロジックとDRAMにおいて、どのくらいのマスク枚数にEUVが適用されるのだろうか?
図8は、2025年から2030年にかけて、先端ロジックとDRAMに、何層のEUVが使われるかを示したものである。
まず、先端ロジックに使われるEUV層は、2025年に19〜21層で、その後、年率10〜20%で増えていき、2030年には25〜30層に増えると予測されている。その中で、High NAは4〜6層になると、ASMLは見ている(図8の左図)
次に、先端DRAMに買われるEUV層は、2025年に5層で、その後、年率15〜25%で増えていき、2030年には7〜10層になると予測されている。その中で、High NAは2〜3層と、ASMLは予測する(図8の右図)
筆者は、EUVの合計の層数については、「こんなものかな?」と思ったが、High NAの層数については、やや違和感を覚えた。特に先端DRAMについては、「High NAは使われないのではないか」と疑問を持った。その根拠の一つとしては、2030年頃には、DRAMが(NANDのように)3次元化する可能性があるからである。もし、3D DRAMが量産されるようになると、High NAはおろか、Low NAすら、あまり使われなくなるのではないだろうか。
それはさておき、以下では、EUVの技術的な進歩を見てみよう。
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