図9に、Low NAとHigh NAのEUVのロードマップを示す。2024年に、Low NAの最新機種である「NXE:3800E」がリリースされた。NXE:3800Eのスループットは、1つ前の機種の「NXE:3600D」の160枚/hrから大幅に向上して、220枚/hrになっている。さらに、次世代の機種「NXE:4000F」では250枚/hrに、「NXE:4200G」では280枚/hr以上を目指すことになっている。
なお、図9は、“ASML Investor Day”で、ASMLのPeter Vanoppen氏が“EUV products and business opportunity”のタイトルで発表したスライドである。
ここで、“ASML Investor Day”の発表から、EUVのスループットの指標が変わった。以前は、1日当たりの露光枚数(Wafer/Day)でスループットを示していたが、今回から1時間当たりの露光枚数(Wafer/hr)を使うようになった。
こちらの指標の方が断然分かりやすい。これまでは、スループットをWafer/Dayで示されても良く分からないため、常にその数字を24時間で割り算していた。というのは、1時間当たり何枚と言ってくれないと、しっくりこないからである。今後も、ASMLには、スループットをWafer/hrで示してほしい。
話が脱線したが、次に、High NAを見てみると、2023年〜2024年に合計10台の出荷を予定している「EXE:5000」に続いて、2025年には量産適用を目指した「EXE:5200B」が出荷される。そのスループットは、EXE:5000の110枚/hrから、175枚/hrに向上する見込みでである。
さらに、2027年にはスループット185枚/hrを超える「EXE:5200C」が、2029年にはスループット195枚/hr以上の「EXE:5400D」のリリースが計画されている。そして、2032年には、NA0.75のHyper NAの出荷も視野に入っている。
このように、0.33NA(Low NA)、0.55NA(High NA)、0.75NA(Hyper NA)へと、EUVの開発は続いて行く。その際、ASMLは、その開発に工夫を凝らしている。
2024年にリリースされたLow NAのNXE:3800Eには、大きな仕掛けが施されていた。その仕掛けとは、Low NAから、High NAを経て、Hyper NAへと開発が続くことを見越して、ASMLがEUVの共通モジュール化を図ったことである。
図10に示したように、Low NA、High NA、Hyper NAについて、光源、レチクルステージ、ウエハステージなどは共通モジュールとし、レンズなどの光学系についてのみ、各世代に特化したモジュールを開発することにしたのである。
このように、今後15年以上先まで共通モジュールを使うことを目指して、NXE:3800Eが開発され、出荷された。極めてASMLらしい戦略であると言える。
そして、今後も、スループットの向上は続けられる(図11)。Low NAについては、NXE:3800Eで200枚/hrを超え、2030年には300枚/hrを目指す計画である。また、High NAにおいては、初代EXE:5000で110枚/hrだったスループットを、2030年には200枚/hr超えにする目標である。
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