2025年に1490億米ドルだったスマホ用半導体は、「CMD 2024」に基づく予測では、年率5%で成長し、2030年には1920億米ドルになる。以下、「CMD 2024」に基づく各種電子機器用半導体の予測を示す。
2025年に920億米ドルだったPC用半導体は、年率4%で成長して2030年に1120億米ドルになる。
2025年に700億米ドルだったコンシューマー用半導体は、年率3%で成長して2030年に830億米ドルになる。
2025年に530億米ドルだった有線&無線インフラ用半導体は、年率6%で成長して2030年に700億米ドルになる。
2025年に760億米ドルだったクルマ用半導体は、年率9%で成長して2030年に1140億米ドルになる。クルマ用半導体の成長率は、サーバやデータセンター&ストレージ用に次ぐ2番目の高さとなっている。
2025年に840億米ドルだった産業用半導体は、年率7%で成長して2030年に1200億米ドルになる。
そして、唯一、「CMD 2024」の方が「CMD 2022」より大きく成長すると予測されているサーバやデータセンター&ストレージ用半導体は、2025年に1560億米ドルから、年率18%で成長し、2030年には3610億米ドルになる。サーバやデータセンター&ストレージ用半導体は、各種電子機器の中でも成長率が最も高く、2030年の予測値も最も大きくなっている。
そして、2025年に6790億米ドルだった世界半導体市場は、年率9%で成長し、2030年には1兆510億米ドルになると予測されている。この世界半導体市場に占める割合は、大きい順に、サーバやデータセンタ&ストレージ用が34%、スマホ用が18%、産業用が11%、クルマ用が10%、PC用が約10%、コンシューマー用が7%、有線&無線インフラ用が6%となる。
以上の分析より、2025年から2030年にかけて世界半導体市場をけん引するのは、サーバやデータセンター&ストレージ用半導体であり、この中にAI半導体が含まれていることから、2025年以降に世界半導体市場をけん引するのはAIであると結論付けられる。
それでは、世界市場をけん引するAI半導体の能力は、どのように向上していくのだろうか?
これまでの「ムーアの法則」では、1チップ当たりに集積されるトランジスタ数は2年で2倍の割合で増大していくと解釈されてきた。しかし、恐らく今後は「1チップ当たり」ということが意味を持たなくなり、「パッケージ当たり」が重要になると考えられる。というのは、さまざまなチップを1つのパッケージに集積して、1つのシステムとして動作させる「チップレット」が主流になってくるからだ。
そして、パッケージ当たりのトランジスタ数をグラフの縦軸に取れば、2年で2倍トランジスタが増大する「ムーアの法則」が今後も続くことが予測されている(図3)。その結果、2030年に半導体は、1パッケージ当たり1兆個のトランジスタが集積されるようになる。つまり、ムーアの法則は、依然として健在であるということだ。
なお、図3は、“ASML Investor Day”で、ASMLの新CEOのChristophe Fouquet氏が“Global market trends, Industry technology roadmap, ESG”のタイトルで発表したスライドである。
さらに、パッケージ当たりの計算速度をグラフの縦軸に取ると、シンギュラリティにつながる新たな視点が見えてくる。
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