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AIアルゴリズムを動かしながら監視を支援 車載用レーダーセンサーTIが統合型車載チップを発表(1/2 ページ)

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、より安全で快適な運転環境の実現に向けた「統合型車載チップ」を発表した。60GHzミリ波レーダーセンサー「AWRL6844」、オーディオDSPコアを搭載したマイコン「AM275x-Q1」とプロセッサ「AM62D-Q1」および、Class-Dオーディオアンプ「TAS6754-Q1」である。

» 2025年01月17日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

AWRL6844の採用で実装コストは約20米ドルに半減

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2025年1月16日に記者説明会を行い、より安全で快適な運転環境の実現に向けた「統合型車載チップ」を発表した。60GHzミリ波レーダーセンサー「AWRL6844」、オーディオDSPコアを搭載したマイコン「AM275x-Q1」とプロセッサ「AM62D-Q1」および、Class-Dオーディオアンプ「TAS6754-Q1」である。

車内環境のイメージ 車内環境のイメージ[クリックで拡大] 出所:日本TI

 次世代の自動車設計では、電動車や自動運転車への対応、安全な運転環境を支援するディスプレイ機能やコネクティビティ機能および、車室内における快適性や利便性が求められている。こうした中で開発エンジニアは、要求される仕様を実現しつつ、設計の効率改善やコスト削減に取り組んでいる。

 今回発表した新製品は、次世代の自動車開発において必須といわれる「乗客に対する安全性のさらなる向上」や「プレミアムオーディオに対する要求の高まり」に応えて開発した。しかも、設計エンジニアが抱える「設計の効率改善」と「コストの低減」という要求にも対応した製品である。

 AWRL6844は、シングルチップの60GHzミリ波レーダーセンサーで、「シートベルト警告システム」や「子供置き去り検知」「侵入者検知」と、3種類の車内センシング機能を備えている。このチップは、トランスミッターとレシーバーをそれぞれ4個内蔵し、独自のオンチップアクセラレーターとDSPにより、エッジAIアルゴリズムを実行できる。

 例えば、「シートベルト警告システム」は、運転中に座席の占有状況と乗員の位置を98%の精度で検出する。この時、「人体」と「重たい荷物」を区別できるという。駐車した後は、「意図しない子供の置き去り」を監視し、ニューラルネットワークを活用してわずかな動きを検知する。その分類精度は90%を上回るという。「侵入者検知」では、車体の振動や外力で生じる誤検知を防ぎながら、最大98%の精度で駐車時の侵入者を検知できる。1秒当たり10回の検知動作を行いながら、平均消費電力は50mW未満と極めて小さい。

 同様の車内センシング機能を実現するため従来は、シート内蔵の重量測定マットや超音波センサーなど6個のセンサーが必要であり、1台当たりの総実装コストは約39米ドルに達していた。AWRL6844を採用すれば、センサーは1個で済み実装コストも約20米ドルに半減できると試算している。

AWRL6844の回路ブロック図と特長 AWRL6844の回路ブロック図と特長[クリックで拡大] 出所:日本TI
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