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「パワーは次のフロンティア」onsemiのCEOが語るelectronica 2024(1/2 ページ)

onsemiのCEOであるHassane El-Khoury氏は、欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日)においてEE Times Japanなどの取材に応じ、市場の展望や戦略について語った。

» 2025年01月20日 18時27分 公開
[永山準EE Times Japan]

 onsemiのCEOであるHassane El-Khoury氏は、欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日)においてEE Times Japanなどの取材に応じ、市場の展望や戦略について語った。

「戦略に揺らぎなし」

onsemiのCEOであるHassane El-Khoury氏 onsemiのCEOであるHassane El-Khoury氏

 onsemiは数年前から「インテリジェントパワー」と「インテリジェントセンシング」の2分野に焦点を当て、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイス製品群「EliteSiC」やイメージセンサーファミリー「Hyperlux」などを中心に展開。市場としては自動車、産業、AIデータセンターの3つをメインターゲットとしてきた。

 2024年は、産業機器市場の低迷や電気自動車(EV)市場の成長鈍化など、AIデータセンター向けのメモリや一部ロジックなどを除くと世界の半導体業界を取り巻く環境は厳しかったものの、El-Khoury氏は「EVの低迷など短期的なボラティリティを考慮しても、この戦略が揺らぐことはない」と説明。「パワー分野は次のフロンティアだ。AIにしろ、自動車にしろ、産業機器にしろ、全て電力を必要する。電力は希少な資源となりつつあり、顧客にとって電力効率の重要性は増している」と強調していた。

 また、今度も長期的にはEV市場は成長を続け、そこでSiCの採用率拡大も見込まれることから、特にパワーが成長分野となると説明。「『米国のEVリーダー』を除いて考えると、EVにおけるSiCの普及率は6%程度だ。台数の伸びが大きくなかったとしても、800Vアーキテクチャの移行などによってSiC搭載が進み、それが成長につながるだろう」とした。AIデータセンターについても今後、1ラック当たり120kW以上の電力が必要となるなど電力消費が拡大。同時に蓄電施設の併設なども求められてくるとし、「われわれが目にするこれらのマクロ的な変化は、全て当社の長期戦略にとって有利なものだ」と語った。

 El-Khoury氏は「2024年、多くの企業が投資の見直しや削減を行ったが、当社は投資を増加した。われわれは2024年や2025年といった見方でなく、ターゲットとするトレンドに投資しているからだ。市場の回復は『L字型の回復』を見込んでいるが、慎重なアプローチを取りつつも、成長を促進する適切な分野に投資を続けていく」とも付け加えた。

 そして同氏は、onsemiがelectronica 2024開催日前日である2024年11月11日に発表した、65nm バイポーラCMOS-DMOS(BCD)プロセスを活用した新たなアナログおよびミックスドシグナルプラットフォーム「Treo」が、こうしたパワー(およびセンサー)ソリューションを補完するものだとも述べた。

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