Intelのアナリティクス/オートメーション部門担当バイスプレジデントを務めるAziz Safa氏は、聴衆に向けて、「AIは決して新しいものではない。私自身、大学の時に機械学習(ML)を使っていた。しかし現在は、処理能力とコネクティビティが非常に優れているという点で異なっている。データ移動の帯域幅や安価なストレージ、より洗練されたアルゴリズムなどが挙げられる。こうした処理能力により、革新的なモデルのさらなる高速化が実現されている」と述べた。
Safa氏は、品質と製造プロセス改善能力に関する分析およびAIの重要性を強調し、「AIや各チップのツールへの投資を拡大することで、性能を把握し、製品品質を確保できる」と述べる。
またSafa氏は、「Intelが行っている投資は、データを保存して、通常は困難とされる計測機器のような装置からのデータも含むことができるよう拡張するというものだ。こうした安価なストレージメカニズムにより、ファブデータを取り込んで保存し、さらに下流の製造プロセスから収集された残りのデータにリンクさせることが可能になった」と述べる。
Intelは次なる段階として、エンジニアや管理者がデータをより直観的かつインタラクティブに利用できるよう、予測インテリジェンスを導入し、プロセス制御/分析用のシステムを備えたインフラを展開していくとしている。世界各国で1000人超のエンジニアたちが、このような環境でトレーニングを受けているという。トレーニングを受けたエンジニアが増えていけば、さらなる革新的なソリューションが生み出されるだろう。
ADIの登壇者であるSmitha Mathews氏は、製品/テストエンジニアリングのデータプログラムを実行している。同氏は、AI向けのデータ準備に必要なスケーリング活動の他、ハードウェアとソフトウェアの両方を組み込んだインテリジェントエッジ上の製品構築について説明した。同社は7万5000種の製品をそろえ、12万5000超の顧客にサービスを提供していることから、難しいタスクだといえる。
こうした背景から、AIデータ戦略が実行され、2023年に歩留まり管理プラットフォームが選定された。エンジニアは、全製品に向けた製造分析を確立し、4つの社内工場と6つのアウトソーシングの半導体組み立て/テスト工場において、テスト運用を実施した。3社からのデータを1カ所に収集し、4つの工場において、1000超のテスターで共通のレポート/制御セットを導入した。2023年には、150人のユーザーがこのプラットフォームを採用し、実世界の問題を解決している。
Mathews氏は、「われわれは最初のピークに到達した時、周囲を見渡して、何を実行して何を成し遂げられるのかという可能性を見いだし、そして高い志を掲げた」と述べる。
2024年には、1000人以上のユーザーが、分析サイクルタイムを大幅に短縮することができたと報告している。これまで数カ月から数週間を要していたタスクが、今では数日から数時間になったという。そしてユーザーの仕事の仕方が変化した。データをライブで確認して調べ、はるかに迅速に洞察を得られるようになったという。
データの有用性は20%向上したが、ADIにとってはまだ終わっていないようだ。過去データの品質は30%向上し、生データの品質も40%向上しているが、目標は100%を達成することだという。
Mathew氏は、「前途有望な成果だが、エンジニアリングではまだソリューションを拡大できていない。重要な鍵となるのはデータであり、単なる普通のデータではない。健全なデータは、AIソリューションがいかに迅速に拡大するかということに直接相関している。データ品質は急斜面を登るようなものであり、失敗もそのゲームの一部である。データはチームスポーツなのだ」と述べる。
終日にわたり行われたパネルディスカッションでは、生成AIや3Dデバイステスト用AI、信頼性、AIを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)、デジタルツインなどのユースケースについて考察が行われた。プレゼンでは、AIによる設計情報の活用や、分析/AIスキルの向上などに関する実践的な戦略が提示された。
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