Intelは現在も、チップレット(同社は「タイル」と呼称)の供給を、ライバルであるTSMCや他の半導体メーカーに依存している状況にある。
競合他社へのアウトソーシングは、Intelの収益性を損ねている。それでもこの戦略は、新製品をより迅速に開発する上で役立っているのだ。
Rasgon氏は、Bernsteinレポートの中で「Intelは(『Panther Lake』の後継である)『Nova Lake』ではPanther Lakeと比べてアウトソーシングの割合が増加していると述べ、また将来のデータセンター製品のアウトソーシングについても前向きに議論しているなど、いずれも不安要素となっている」との見解を示している。
Holthaus氏は、アナリスト向けのカンファレンスコールの中で「Panther Lakeは、Intel 18Aプロセスを採用する。当社のクライアント向け次世代製品であるNova Lakeでは自社製と外部製の両方のタイルを使用する予定だ」と述べている。
また同氏は「Intelは、データセンター向けプロセッサであるClearwater Forestの発売を2026年上半期に延期し、Intel 18Aを適用する他のプロセッサの発表も遅らせている」と述べる。
「Intel 18Aは『Granite Rapids』において優れた性能と歩留まりを実現しているが、パッケージングの複雑化が予測されるため、2026年までずれ込みそうだ」(Holthaus氏)。Granite Rapidsは、IntelがHPCアプリケーション向けに設計した第6世代Xeonサーバプロセッサの呼称だ。
Holthaus氏は「Intelは、データセンター顧客に完全なソリューションを提供する必要がある」と述べる。そのうえで同氏は、カンファレンスコールにおいて「われわれは、それを『Jaguar Shores』で実現できるだろう。『Falcon Shores』は内部テストチップとなり、システムやネットワーク、メモリなど、あらゆるコンポーネント機能の開発プロセスにおいてサポートしてくれる見込みだ。しかし、当社の顧客企業が本当に求めているのは、全体的なラックスケールソリューションだ」と述べている。
Rasgon氏は、AIチップ分野におけるIntelの競争力について疑問の声を上げる。
「販売可能な製品としてのFalcon Shoresがキャンセルされたことで、AIアクセラレーターの話は立ち消えとなったようだ」(Rasgon氏)
他のアナリストたちは、Intelの変化をポジティブに捉えている。
Moor InsightsのチーフアナリストであるPatrick Moorhead氏は、LinkedInの投稿の中で「Intelは、ロードマップと納期予定を調整しようとしている。全体的に見れば、このようなリセットは同社にとって良いことではないだろうか」と述べている。
Zinsner氏は「Intelは、価格競争力の強化を目指している」と述べる。
「特にコスト構造が、Lunar Lakeのために圧迫されている。Intel Productsの2025年の粗利益は圧迫されるだろう。一部の部品コストは上昇していて、特にLunar Lakeは、メモリやパッケージなどのコストが高い。われわれは基本的に、メモリを調達し、そのまま同じ価格で販売しているため、マージンが減少している。2025年を通してマージンや価格が非常に厳しいプレッシャーにさらされるだろう」(Zinsner氏)
Rasgon氏によると、Intelは当面、かなりアグレッシブな価格決定を行い、マージンがさらに大きなリスクにさらされる見込みだという。
同氏は、「確実に製品の粗利益に影響が及び、同事業部門が2025年中に大きく上向くことはないとみられる。Panther Lakeが登場するまでは、コスト構造が改善されることはないだろう」と述べる。
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