成分測定は、液体クロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いて、有機酸やアミノ酸、糖分、香気、ガス感を解析する。
TDK 技術・知財本部 日本酒プロジェクト プロジェクトリーダーの兼森庸充氏は、Sake Sensing Systemについて「極めて高精度だ」と自信を見せる。開発にあたっては、社外と連携して日本酒の知見を得たという。まず、日本で唯一アルコールを研究する国の研究機関である酒類総合研究所から成分と味わいの関係性についてアドバイスを受け、アルゴリズムの設計に生かした。その上でアルゴリズムによる出力結果と実際の味わいが一致するか、同研究所のテイスターが確認したという。
さらに、秋田県由利本荘市の酒蔵である天寿酒造と連携し、これまで7回にわたってコラボレーション製品を市場投入している。消費者に対するアンケートでは、TDKが出力したレーダーチャートに対して80%以上の回答者が納得感を示したという。
Sake Sensing Systemは、酒蔵向けのサービスとして始動する。料金は未定。酒蔵はTDKに検体を提供してレーダーチャートを受け取り、製品ラベルやWebサイトで利用できる。加えてTDKは、新酒のコンセプト設計段階からのサポートも行う考えだ。
TDKは、同システムを用いれば多種多様な日本酒の味わいの個性が一目で分かるようになるため、酒蔵と消費者とのコミュニケーションが効率的/効果的になるとしている。酒蔵が伝えたいストーリーやこだわりを味わいと関連付けて表現することも可能だ。さらには、味わいを定量的に確認できることから、酒質の管理にも活用できるとする。
兼森氏は「Sake Sensing Systemで消費者の購入のきっかけを作りたい。酒蔵のキャッシュフローが増えればさらにおいしい日本酒が開発され、グローバルで日本酒市場が活性化する」と語った。
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