図5は中国「vivo X200 Pro」に搭載されたDimensity 9400のパッケージの様子である。基本構造はQualcommと同じだがパッケージ端子側に埋め込まれるキャパシターは、セラミックコンデンサーだけになっている。Qualcommと同じく高速演算器の直上に配置されている。
図6はDimensity 9400の配線層剥離のシリコン写真である。搭載される基本機能はQualcommとほぼ同じ。ただし2点大きな違いがある。Qualcommは自社独自設計のCPU、GPUを搭載するのに対して、MediaTekはArmコアをそのまま活用している。
現在最上位の「Cortex-X925」ハイエンドコアを1基、1世代前の最上位「Cortex-M4」を3基、ミドルハイ仕様のCPU「Cortex-A720」を4基というゴージャスなCPU構成となっている。性能は低いが面積が小さく電力効率が高いEコアが搭載されず、全てがハイエンドコアという構成になっている。パフォーマンスコアと高効率コアを組み合わせるArmが提唱した「big.LITTLE」アーキテクチャ(現在ではエントリーモデルでも採用)に対してDimensity 9400は「ALL Big」構成になっている。3nmでは集積密度が劇的に向上しミドルハイCPUでも十分に小面積化できるので、ALL Bigは3nmでは増えるものと思われる。ちなみにMEDIATEKはチップに搭載されるトランジスタ数を公表している。シリコン面積とトランジスタ数で計算すると1平方ミリメートルに搭載される平均集積密度を求められる。4nmから3nmになることで、集積密度は約40%増えている!!
図7は、4nmのDimensity 9300と3nmのDimensity 9400の比較である。Qualcommの周波数アップ27%に比べるとやや控えめの数字だが、周波数は約12%アップ、最新のCPU、GPUを搭載し、シリコン面積は10%縮小している。3nm化の効果は絶大だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.