図3はSnapdragon 8 Eliteの配線層剥離済みのシリコン写真である(鮮明写真あり)。ArmアーキテクチャをベースにQualcommが独自に開発したCPU「Oryon」(詳細は省略)と同社独自のGPU Adreno 12コア、NPUとして「Qualcomm Hexagon」、5Gモデムが搭載されている。さらにビデオコア、カメラISP、ディスプレイコントローラーなどスマートフォンに必要な機能は1シリコンに搭載されている。Oryonは高速動作、L1キャッシュを拡大したハイエンド処理向けのOryon L(ラージ) 2コアと処理速度を落としキャッシュを小容量化したOryon M(ミドル) 6コアで構成されている。L側に12MBのL2キャッシュ、M側にも12MBキャッシュが搭載されている。
図4はQualcommの前世代のハイエンドプロセッサである、4nm製造のSnapdragon 8 Gen 3と、3nmを適用した Snapdragon 8 Eliteの比較である。搭載されるCPUコア数やGPUコア数、DRAMチャンネル数は変わっていないが、CPU、GPUともにアップデートされたものが搭載されている。
図中には記載していないが、Snapdragon 8 Gen 3ではトータルで12MBだったキャッシュが、Snapdragon 8 Eliteでは2倍の24MBに拡大されている。周波数は劇的に上がり、Snapdragon 8 Gen 3の3.40GHzが、Snapdragon 8 Eliteでは27%もアップした4.32GHzとなっている。Samsungの新スマートフォン「Galaxy S25」には、さらに周波数がアップし、4.57GHzで動作する「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」が搭載されている。機能アップ、速度アップにもかかわらず、4nmから3nm化によって面積は11%程度削減。TSMC 3nm第2世代 N3Eプロセスの出来栄えの良さが大幅な進化をもたらしているわけだ。
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