なぜこれほどまでに米国企業からの応募が多いのだろうか。
Sherwani氏は「第一募集には64社から応募があり、その全てが米国企業だった。なぜだろうか。今日の米国で最大の課題となっているのは人材の確保だ。このため、米国企業は国を離れ、マレーシアやシンガポールなど行ける場所ならどこでも、中立的な場所を見つけようとしている。われわれが米国企業を歓迎しているということが分かれば、ここサウジアラビアにも来るだろう。米国企業が国外に移転する主な理由は、市場と人材だ。サウジアラビアのような中立的な国は、こうした状況から大きなメリットを享受できる」と述べている。
同氏はさらに「このためわれわれは、企業がサウジアラビアに移転する際に約200万米ドルを提供するというインセンティブプログラムを作り上げた。そして、企業が必要な資金を調達できるよう協力する。トップ12社で約2億米ドルが必要となるため、現在基金の設立を進めているところだ。最初に用意する基金は5億米ドル規模となる」と述べている。
「この5億米ドルは、『National Semiconductor Fund of Saudia Arabia』の資金であり、今後5年間で予定されている32億米ドルの一部である。第一募集の企業に必要な2億米ドルのうち、われわれが小切手を発行するのは5000万米ドルだけだ。残りの1億5000万米ドルは、プライベートベンチャーキャピタルから調達する。サウジアラビアには24のローカルベンチャーキャピタルから成るコンソーシアムがあるが、今後は国際的なベンチャーキャピタルも探していく予定だ」(Sherwani氏)
Sherwani氏は、インセンティブや資金だけでなく、人材や顧客企業も重要であることを何度も強調した。同氏は、EE Timesのインタビューの中で「サウジアラビアだけでなく、エジプトやパキスタンからも新卒の電子技術者を採用し、8カ月のトレーニングプログラムを提供する計画がある」と語っていた。これは、物理設計や検証、RISC-V、半導体チップのテープアウトなど、第一募集で決定した16社からの要望に対応することに焦点を当てたものとなる。
同氏は「われわれの目標は、学生を卒業後に企業に就職させることだ。また、サウジアラビアの新卒採用全体の約50%が女性である」と述べている。
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