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EUV初導入、Micronが「業界初」1γノードDRAMを発表消費電力を20%削減

Micron Technologyは、1γ(ガンマ)ノードDRAM技術を採用したDDR5メモリのサンプル出荷を開始した。1γノードは、前世代である1β(ベータ)ノードと比べて、速度を15%改善。消費電力は20%以上削減し、ビット密度も30%以上向上した。

» 2025年03月06日 11時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]
マイクロンメモリ ジャパン DRAM開発部門 シニアバイスプレジデント 白竹茂氏 マイクロンメモリ ジャパン DRAM開発部門 シニアバイスプレジデント 白竹茂氏

 Micron Technology(以下、Micron)は2025年2月25日(米国時間)、第6世代(10nmクラス)となる1γ(ガンマ)ノードDRAM技術を採用したDDR5メモリのサンプル出荷を開始した。1γノードを採用した製品のサンプル出荷は「業界で初めて」(Micron)だという。

 同社は同月27日に記者説明会を開催し、マイクロンメモリ ジャパン DRAM開発部門 シニアバイスプレジデントの白竹茂氏が1γノードの特徴やMicronの技術動向について説明した。

消費電力を20%削減、ビット密度は30%向上

 1γノードは、前世代である1β(ベータ)ノードと比べて、速度を15%改善。消費電力は20%以上削減し、ビット密度も30%以上向上した。消費電力の削減はHKMG(High-k/Metal Gate)や回路設計の改善によって実現し、ビット密度の向上には、同社製品として初めて導入したEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術が大きく貢献したという。

Micronの1γノードDRAM技術の特徴 Micronの1γノードDRAM技術の特徴[クリックで拡大] 出所:Micron Technology

 白竹氏は「データセンターが必要とするメモリ容量は2028年までの3年間で倍になり、世界の電力消費量のうちデータセンターが占める割合は2030年に8%以上になるといわれる。メモリの開発においては今まで以上に低消費電力であることがキーファクターとなっている」と説明した。

EUV露光技術は「本当に必要な工程にのみ使用」

 MicronのDRAM開発は米国アイダホ州ボイシと広島で行い、製造は広島と台湾(台北/台中)、米国バージニア州マナサスで行っている。白竹氏は「世界中に拠点を構えていることで、異なるカルチャーの人材から新たなイノベーションが生まれる機会が多い。マーケットの状況を正確に把握して製品開発にフィードバックすることを強く意識している」とした。なお、1γノードの開発は広島で行ったもので、サンプル製造はEUVリソグラフィ技術を導入している台湾で行うという。

 Micronはこれまで、1α(アルファ)、1β、そして1γと連続して最新ノードをいち早く市場投入してきた。1βノードからはHKMGを用いている。今回の1γノードでは同社製品として初めてEUVリソグラフィ装置を導入した。EUVリソグラフィ技術の導入について白竹氏は「コストや生産性を注意深く検討し、今回導入するのが正しい時期だと判断した。本当に必要な、EUVでしかできない工程にのみ使用している」と説明した。

これまでにMicronが採用した特徴的な技術今後のDRAM開発の方向性 左=これまでにMicronが採用した特徴的な技術、右=今後のDRAM開発の方向性[クリックで拡大] 出所:Micron Technology

 今後については「プレーナ型で開発するか3次元構造になるかはまだ分からない。微細化の限界が差し迫り、DRAMの技術開発は今節目を迎えようとしている」と述べた。

 同氏はさらに「Micronは1αノードでDRAM設計/製造におけるリーダーシップを確立した。一度リーダーシップを失うとそれを取り戻すには10年くらいかかると考えているので、今後も最新テクノロジーをいち早く市場投入することで立場を強固にしていきたい」と語った。

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