「カシオミニ」など名機40台でたどる進化の軌跡 カシオ電卓60年記念展:ゲームや着火ライター付きのユニーク電卓も(3/3 ページ)
カシオの電卓はこうした「正統派」に限らない。遊び心のある個性的な電卓も多数展示していた。
計算以外の機能を搭載した「複合電卓」の先駆けは、バイオリズムを算出できる電卓「バイオレーター」(1975年発売、7500円)だ。バイオリズムとは当時話題になっていた「人間には生まれつき身体/感情/知性の3つのリズムがあり、そのリズムによって日常生活に好不調の波がある」という仮説だ。バイオレーターに生年月日と計測日を入力すると、バイオリズムのコンディションを表示できた。
バイオリズムを算出できる電卓「バイオレーター」(写真右)[クリックで拡大]
1978年発売の「QL-10」(1万4800円)は、着火ライター付きの電卓だ。当時は喫煙者が現在よりも多かったので、「オフィスで電卓とライターを両方持ち歩かなくてもいいように」というアイデアから生まれた製品だという。
着火ライター付き電卓「QL-10」[クリックで拡大]
娯楽機能を備えた電卓としては、音を奏でられるメロディ機能付きの電卓「MELODY-80」(1979年発売、9500円)や、近づいてくる数字を撃ち落とすゲーム電卓「MG-880」(1980年発売、4900円)がある。カシオの担当者は「現在はスマートフォンがゲームや時計を兼ねているように、当時はいろいろな役割を兼ねる電卓を開発していた」と説明した。
メロディ機能付きの電卓「MELODY-80」(写真右)とゲーム電卓「MG-880」(写真左)[クリックで拡大]
現在も新製品は継続的に発売されている。電卓事業が60周年を迎えるにあたって、カシオが「あらためて電卓に求められる要素を検証・再編成し、長く愛用できるように」(同社)開発したのが「Comfy JT-200T」(2025年発売、3850円)だ。従来操作面に配置されていたソーラーパネルを本体上部の側面に配置するなどミニマルなデザインが特徴で、キーフォントはカシオミニに使用された柔らかい印象のフォントを踏襲している。再生樹脂と鉱物の混合素材を外装に採用するなど、環境にも配慮している。
2025年発売の「Comfy JT-200T」。操作面にソーラーパネルがない[クリックで拡大]
カシオは今後も電卓事業60周年を記念する取り組みを進めていくという。
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