「SEMICON Japan 2024」で新設された「ADIS(Advanced Design Innovation Summit、アディス)」では、EDAベンダー各社がチップレット集積など2.5D/3D ICの設計に向けたツールを展示した。大手ベンダーは「チップレット集積では、チップ、パッケージ、プリント基板(PCB)の設計データを統合しながら、並行して設計を進めることがスピーディな開発につながる」と口をそろえた。
この記事は、2025年3月19日発行の「EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版2025年3月号」に掲載している記事を転載したものです。
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2024年12月に開催された「SEMICON Japan 2024」(12月11〜13日、東京ビッグサイト)では、次世代の半導体設計/検証分野に焦点を当てたサミット「ADIS(Advanced Design Innovation Summit、アディス)」が新設され、EDA/シミュレーションソフトウェアを手掛ける主要ベンダーがブースを構えた。大手ベンダーは「チップレット集積では、チップ、パッケージ、プリント基板(PCB)の設計データを統合しながら、並行して設計を進めることがスピーディな開発につながる」と口をそろえる。半導体設計、パッケージ設計、PCB設計の“三位一体”が鍵になりそうだ。
ADISのテーマの一つになっていたのがチップレット集積を含む2.5D/3D ICだ。EDAベンダーは、それぞれの戦略を掲げていた。図研では、会期中に自社ブースで実施したセミナーに最高技術責任者(CTO)の仮屋和浩氏が登壇。同氏は冒頭で「SoC(System on Chip)、半導体パッケージ、プリント基板(PCB)を1社で設計するメーカーは極めて少ない。あったとしても別々の部門が担当していることが多く、同じ担当者が全てに関わることはまずないといっていい」と語った。
その背景には、ファウンドリーやOSATを活用した半導体製造の水平分業や、電子機器と半導体の開発を手掛けるメーカーがほとんど姿を消してしまったことなどが挙げられる。現在は、半導体、パッケージ、PCBが別々かつ順番(半導体→パッケージ→PCB)に開発されていて、こうした状況では、設計フローが進むほど制約が厳しくなってしまう。
「PCB業界からは、『配線が極めて難しい状況になっていて、そろそろ設計がつらい』という声を聞く」(仮屋氏)。そのため、PCB業界からは、半導体の集積度をさらに上げ、必要な回路/ダイはできるだけ1パッケージに収めてほしいという要求が、ますます高まっている。「一方で、半導体業界からは半導体の集積は、これ以上はもう無理だという声が上がっている。だからこそチップレット集積の構想が生まれた。ただ、現状では、後工程の人たちにほとんどのチャレンジが集まってしまう」(同氏)
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