回路保護部品を手掛けるLittelfuseの日本の開発/生産拠点である筑波事業所では、生産する全製品を対象に全数検査を行っている。日本市場に向けた筑波事業所の取り組みについて、Littelfuse ジャパン 筑波事業所長の田中新氏に聞いた。
米国イリノイ州に本社を置き、回路保護部品を手掛けるLittelfuse。日本の開発/生産拠点である筑波事業所(茨城県稲敷市)は1994年に設立され、主に国内顧客向け製品の設計から製造、サポートまでを担っている。
日本市場に向けた筑波事業所の取り組みについて、Littelfuse ジャパン 筑波事業所長の田中新氏に聞いた。
筑波事業所の敷地面積は3万7593m2、床面積は7475m2。生産オペレーションや品質管理、研究開発や顧客への提案を行う従業員が在籍している。
筑波事業所の主要製品は、「繰り返し使えるヒューズ」とうたう復帰型過電流保護デバイス「PolySwitch」だ。自動車や民生機器向けにチップ型/ディスク型/表面実装用などのラインアップを展開している。用途は自動車のドアロックモーターやパワーウィンドウのほか、リチウムイオン電池、産業用ロボットなど幅広い。
Littelfuseが日本で生産を開始したのは1985年で、当時はデジタルカメラのバッテリー向けが主力だった。その後は携帯電話(フィーチャーフォン)のバッテリー向け生産が増加したが、現在は自動車向けが中心だという。
「自動車の電装化が進む中で、過電流保護デバイスの需要も変化する。現在は48V系への移行トレンドでより高耐圧のものが求められるようになっている。Littelfuseでは原材料の組成や製品の形状などを変更することで対応している」(田中氏)
筑波事業所では製品設計から生産、サポートまでを一貫して手掛けていて、自動化のための製造装置も自社で設計している。海外拠点で生産した製品を日本の顧客に販売する際の最終出荷検査も担う。
筑波事業所で生産する製品は、1994年の設立以来、全製品で全数検査を行っていることも特徴だ。厚みや抵抗値の検査に加え、自動車向けの製品は実際に規定容量以上の電流を流して、保護素子として機能するかどうかの確認も行う。一般的なヒューズは一度過電流が流れると溶断して使用できなくなるので、この検査方法は繰り返し使用できるPolySwitchならではだ。
「日本の顧客が求める品質レベルは非常に高い。日本の基準を満たせるよう、出荷前にしっかり検査する体制を作っている」(田中氏)
2021年7月には、製品開発部門とは別に、顧客サポートに向けたラボも設けた。他拠点で生産したものを含む全製品を対象に技術サポートを担い、要望に応じて各種評価試験や不良品解析を行う。
「筑波事業所には、PolySwitchとはどういうものかを勉強しに来てくれる顧客もいる。設計や生産だけでなく顧客コミュニケーションも行う、ローカルで顔の見える拠点にしている」(田中氏)
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