メディア

「Switch 2」を分解 NVIDIAのプロセッサは温存されていた?この10年で起こったこと、次の10年で起こること(93)(3/4 ページ)

» 2025年06月25日 11時30分 公開

プロセッサは初代からNVIDIA

 表1に、2021年に発売された「Nintendo Switch(有機ELモデル)」と、2025年のSwitch 2の比較を示す。Switchは2017年に発売後、2019年にジョイコントローラーが一体化した「Switch Lite」、Nintendo Switch(有機ELモデル)とラインアップを増やしているが、内部の基本構成は、初代から有機ELモデルまでマイナーチェンジにとどまっていた。

表1 「Nintendo Switch(有機ELモデル)」とSwitch 2の比較 表1 「Nintendo Switch(有機ELモデル)」とSwitch 2の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 Switch 2は上記のように、メモリ容量を3〜4倍に増やし、プロセッサも入れ替えることで大幅な性能アップを実現している。表1では同じ大きさに見えるが、Switch 2では本体も基板もひと回り大きくなっている。本体サイズなどの比較情報は多々発信されているので、そちらをご覧いただきたい。

 表2は上記も含めた、Nintendo Switch(有機ELモデル)とSwitch 2の主要チップである。プロセッサは初代からNVIDIAだ。SwitchはNVIDIAの「Tegra X1」をベースとした20nm適用の「ODNX02」製品でスタートし、Switch Liteで同機能を16nmにシュリンクした「ODNX10」に切り替えている。16nmを適用することでシリコン面積が18.4%小さくなり、1枚のウエハーから取得するチップ数が増えている。

表2 Nintendo Switch(有機ELモデル)とSwitch 2の主要チップ[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 図5はNVIDIAが2022年に発売した「NVIDIA Jetson AGX Orin」に搭載された「TE990M-A1」とSwitch 2に搭載されたプロセッサ「GMLX30-A1」のパッケージの様子である。

図5 NVIDIA「TE990M-1」と、Switch 2のプロセッサ「GMLX30-A1」 図5 NVIDIA「TE990M-1」と、Switch 2のプロセッサ「GMLX30-A1」[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 結論から言うとSwitch 2のプロセッサ、GMLX30-A1は、AGX Orin TE990M-A1の機能をカットダウンしたものとなっている。機能をカットダウンしているので端子数を削減でき、パッケージを小型化できている。パッケージ面積は3分の1だ。仮にAGX Orinのサイズのまま使用していたら、現状の基板に収まらなかっただろう。

 初代Switchに採用されたODNX02も、ベースのTegra X1が1232ピンに対して960ピンに削減されている。同じシリコンをそのまま単純に使うのではなく、削れるものを削った任天堂としての最適な使い方を初代から行っていたわけだ。Switch 2でもOrinをベースに最適な構成をGMLX30-A1で実現したものと思われる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.