ディスコはHBM向けの顧客の投資動向については「2024年度当初のように、メモリメーカー各社が一斉に『アクセルベタ踏み』で投資をするフェーズではないと考えている」とも言及した。積極投資を継続する顧客がいる一方で、投資を一時中断し様子見する顧客もいるなど、メーカーによって投資意欲にばらつきがある状況だという。
一方、直近ではNVIDIAが中国向けのGPU「H20」の販売再開を発表するなど、市場を取り巻く状況は刻々と変わっていて「今後どうなるか、われわれもまだはっきり見えていない部分がある」と説明。「ある程度中長期的にはHBMは必要となり需要は続いていくと考えているが、具体的なその出荷のタイミングなどは、方向感を含めて読みづらい」とした。
パワー半導体向けは、EV需要減退などを背景に厳しい状況が続いている。同社は「EV関連ではパワー半導体向けで過去2年ほど強い需要が続いてきたが、2023年度後半ごろからかなり減速感が出てきて、2024年度は年度を通じて弱含むという状態が続いた。足元もまだ、底打ちが確認できない状況だ。どこで底打ちを確認できるか、第2四半期以降そのタイミングを探る状況が続くと見ている」とした。そのうえで「長期的にはEVや省エネなどの需要は底堅いと考えている」とも付け加えた。
ディスコでは、顧客の投資意欲が短期間で激しく変動し需要予測が困難なため2018年から業績予想の開示は1四半期先までとなっている。今回開示した2025年度第2四半期(7〜9月)の業績予想では、売上高が前年同期比50億円減の912億円、営業利益は同94億円減の332億円、純利益は同62億円減の235億円とした。出荷額は同140億円減の836億円とみている。いずれも前年同期比から減少の見通しだが、為替や出荷のタイミングなどが影響したもので「特に大きく需要が変わっているとは考えていない。引き続き生成AI関連需要は強い」と説明している。なお、この予想は想定為替レートは1米ドル=135円で設定していて、仮に為替が前四半期からフラットに推移した場合(1米ドル=144円)、売上高は960億円程度、出荷額は880億円程度となる見込みだという。
米国の関税政策に関しては同社は「米国向け売り上げは全体の10%程度でそれほど大きくない。また商流としては、当社は基本的に顧客に直接販売をしている。この場合、関税を支払うのは顧客である半導体メーカーとなる。それが顧客の設備投資意欲にどう影響するか、半導体を使った最終製品の需要動向にどう影響してくるかが重要なポイントだ」と語っていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.